「エルメス（HERMES）」は銀座メゾンエルメス フォーラムで11月11日〜2016年1月31日、フランス人アーティストのローラン・グラッソの展覧会「Soleil Noir」（黒い太陽）を開催する。グラッソは1972年生まれ。フランスに在住する最も革新的なアーティストに与えられるマルセル・デュシャン賞を2008年に受賞するなど、近年注目を集めるアーティストだ。日本では初の本格的な個展となる。
グラッソの作品は、歴史的資料や科学文献のリサーチから始まり、神秘的な出来事や伝説、超常現象などを描き出すことが多い。例えば、15〜16世紀のフランドル絵画やルネサンス以前のイタリア絵画の様式と技法を用いて、当時は、描かれることがほとんどなかった天体現象（日食、オーロラ、隕石など）を描いた絵画作品は、認識している現実や時間に違和感を引き起こす。SFのように未来的でありながらも極めて近世的であり、フィクションのように見えながら、同時に真実を写した深みを持っている。
絵画に描かれた事象は、ビデオやアニメーション、彫刻といった複数のメディアで表現される。本展でも、「黒い太陽」が大理石や鏡、ネオンやビデオなどあらゆるメディアで、錯時的、無時間的に何度も再構成され、いくつもの謎を投げかける。
光、音、電気、磁気、電磁波、宇宙エネルギーといった物理現象を参照しながら、神話や超常現象を表現するグラッソは、科学と神秘のつながりを詩的に、時に崇高に描き出す。真実とフィクションの間を行き来しながら、過去、現在、未来が混在する多義的な作品は、世界の別の見方を示す装置として、新たな歴史を大胆に、そして緻密に描き出す。
本展で紹介する新作の中には、これまでのスタイルを踏襲しながらも、日本へのまなざしを秘めた作品が多く含まれる。リサーチのために来日した際には、土偶や能面、金屏風といった日本古来の表現からインスピレーションを得たという。中世ヨーロッパの僧侶像と日本の土偶を組み合わせた立像は、西洋と東洋が交錯しながらも、そのどちらにも属さない強い違和感を湛えている。また、いくつもの文献を参照しながら、日本における超常的な出来事や江戸時代の伝説などを取り上げ、作品を制作したという。日本の建築的な要素を独自の解釈で取り入れた会場構成もグラッソにとっての新たなチャレンジであり、作品の重要な一部となっている。
会期：2015年11月11日（水）〜2016年1月31日（日）
月〜土曜11:00〜20:00 （最終入場19:30） 日曜 11:00〜19:00（最終入場18:30）
不定休（11月18日（水）休館。年末年始はエルメス銀座店の営業時間に準ずる。）
入場無料
会場：銀座メゾンエルメス フォーラム（中央区銀座5-4-1 8階 TEL: 03-3569-3300）
主催：エルメス財団
協力：エドワール・マラング・ギャラリー、ギャラリー・ペロタン、在日フランス大使館／アンスティテュ・フランセ日本
