テキスタイル大手の小松精練は13日、旧本社棟を改装したテキスタイルラボ「ファーボ」の落成式を行った。同社製のカーボンファイバーロッド「カボコーマ・ストランドロッド」を補強材として使った建築物は世界で初めて。デザインを担当した建築家の隈研吾は、「鉄とコンクリートでできた20世紀の建築ではなく、透明感があり、開放的で、しなやかなこれからの建築ができた。『カボコーマ』自体も、カーボンファイバーという最先端のテクノロジーに、組紐という日本の古い技術を掛け合わせた製品。強くて人間に優しいこれからの建築の可能性を見てほしい」と語った。「ファーボ」には、最新のテキスタイルコレクションの他、シルクや染色技術などの繊維技術の展示・紹介も行い、一般公開も予定している。池田哲夫・社長は、「炭素繊維は今の建築基準法ではまだ認められていないが、自ら使うことで一つの大きな実績を作った。今を見つめながら将来に向けて新しい素材を世間に問う、そういった場所にしたい」という。
「ファーボ」の内部は、「カボコーマ・ストランドロッド」の他、屋外緑化用セラミック「グリーンビズ」、同社のテキスタイルを空調ダクトや照明のファサード、壁材、カーテンなどの素材に使用している。落成式には、三越伊勢丹ホールディングスの大西洋・社長、東レの阿部晃一・副社長、谷本正憲・石川県知事らが訪れた。