京都の伝統工芸の若手後継者ユニット「ゴオン(GO ON)」と、放送作家の小山薫堂のトークイベント「伝統の未来を語らう、食と工芸の饗宴。」が10月27日、京都・下鴨神社境内にある直会殿(なおらいでん)で開催された。ジェイアール西日本伊勢丹による「ゴオン」にフォーカスしたポップアップイベントの一環で、招待客は小山が店主を務める老舗料亭・下鴨茶寮の料理に舌鼓を打ちながら、トークショーを楽しんだ。
西陣織「細尾」の細尾真孝、竹工芸「公長齋小菅(こうちょうさいこすが)」の小菅達之、金網細工「金網つじ」の辻徹、茶筒屋「開花堂」の八木隆裕(イベント当日は欠席)、木桶「中川木工芸 比良工房」の中川周士、窯元「朝日焼」の松林佑典ら「ゴオン」の6人と、小山が語り合ったテーマは"伝統工芸の未来"。一見カタい題目だが、小山ならではのユーモアに富んだトークで、6人は和やかなムードで自身の夢を語った。
小山は、古くから京都に根差す職人のおあつらえ精神と、客のセンス・目利き力の高さを評価。そのうえで6人に「皆で一緒に100年先の未来のモノを作るとしたら、何を作る?」というお題を提示した。細尾は「宇宙船!京都は島津製作所などハイテク企業が多い。伝統工芸も、こうした企業と取り組むことで大きく進化することもあると思う」と目を輝かせた。対して、「金網つじ」の辻が「家」、小菅も「モノだけでなく、価値のある空間を生み出したい」と自身の思いを語った。朝日焼の松林は「器はきっと100年先も存在しているだろうけれど、その使われ方はきっと全然違っているはず。小さかったりムダだったりするが存在が許される、人を幸せにするモノを作りたい」とコメント。小山は「最近、茶道ならぬお風呂の作法"湯道"を独自で始めた」と明かし、「お風呂に入ることは人のことを慮る大事なこと。海外の旅行客に、お風呂の作法の一つのカタチを示せたらなと思う。お風呂が好きすぎて始めたが、今から頑張ればきっと100年後には広がっているかも?まず中川さんに、石鹸受けや木桶を作ってもらいたい(笑)」と語った。