三菱地所は、3月9日にグランドオープンする大名古屋ビルヂングの商業施設ゾーン「大名古屋ビルショップ&レストラン」(売り場面積約1万2540平方メートル)を3月4日に先行披露した。大樹をイメージした空間環境の中に、「イセタンハウス」(アートディレクションは名和晃平/サンドウィッチ、インテリアディレクションは上垣内泰輔<丹青社>、デザインは丹青社)のアート性の高い空間演出が際立った。
一番の注目フロアは、核テナントの「イセタンハウス」(地下1〜地上2階の3層、約2970平方メートル)と、三菱地所がリーシングしたテナントゾーンを併設した2階だ。「イセタンハウス」では"ウエルビーイング(健)"をコンセプトに、伊勢丹として初めてとも言える、ウィメンズ、メンズの複合的展開に挑戦。メンズ&ウィメンズのスニーカーを扱う「キック ザ シティ」を間に置き、ウィメンズの「レディ フォア ザ ウィークエンド」(LFTW)とメンズのメンズクローゼットをつなぐ。FTWでも、新宿店では地下2階のビューティアポセカリーで扱うスーパーフードやリビングで扱うバイタミックス、キッズやスポーツウエアの「アディダス バイ ステラ マッカートニー」など、全館から商品をセレクトし、融合して見せているのも特徴だ。「スノーピーク」や「ノハラ バイ ミズノ」などに加え、ナノ化プラチナと複数の鉱物を特殊素材PHT(プラチナ ハーモナイズ ドテクノロジー)として生地に練り込んだリカバリーウエア(体力回復サポートウエア)として注目を集める「リカバリー ラボ バイ ポロデュースド バイ ベネクス」を展開している。
伊勢丹のアイコンであるマクミラン柄とブラックウォッチ柄のチェックをグラフィカルに活用した、「イセタンタータン」コーナーも初登場する。これまでも大創業祭などでは各カテゴリーで商品展開してきたが、ウィメンズ、メンズ、食品、リビングなどの約20人の担当者が集まり、商品開発に注力。「モノ語り」ができるアイテムを精魂込めて作ったという。創業130周年を迎える伊勢丹のCI戦略の一環としても注目される。
同じく2階の三菱地所のリーシングゾーンでは、"ノスタルジック&クリエイティブ"をテーマに、トゥモローランド「ギャルリー・ヴィー」の新業態でメンズを投入した「ギャルリー・ヴィー・ホワイト」や、ビンテージウオッチや「メゾンキツネ」なども扱うジュンの「ボンジュールレコード」、ルックとの提携が話題の「デンハム」、ベイクルーズが日本展開するノージェンダーブランド「セーブ カーキ ユナイテッド」、綿から調達したこだわりのインディゴ染めや藍染めでも知られる「45R」、吉田克幸・怜雄親子による「ポータークラシック」、東京・蔵前のバッグブランド「REN(レン)」、ユナイテッドアローズの子会社フィーゴによる「アスペジ」、ジュン・グループの「ソフ」など、コンセプチュアルなストアを集積した。
一方、1階はイセタンハウスが中心で、"モード(装)"をテーマに、「リ・スタイル」と、一部ウィメンズ雑貨、「モンクレール」「アレキサンダー ワン」「マルニ」「スリーワン フィリップ リム」「エミリオプッチ」「カルヴェン」の6ブランドを導入。特別なサービスを喜ばれるという名古屋客に向けて、オープン型のプライベートルームや、ライダルコーナーも用意した。
イセタンハウスの地下1階はコスメティックスと、コンセプトショップ群、日本発の感性と良いモノを融合させた「ニッポッピン(NIPPOPPIN)」を展開する。コスメゾーンは約450平方メートルで、「シャネル」「SHISEIDO」「イヴ・サンローラン・ボーテ」などのラグジュアリーから、「ジュリーク」「ラ・カスタ」などのナチュラルコスメまで、国内外の化粧品約30ブランドを集積した。中でも目玉は、リップバー。約300本のリップを並べ、アイテムニーズに対応、選ぶ楽しさを演出している。ナチュラルゾーンでもアイテム別、目的別の集積コーナーを展開。ヘアケアアイテムを並べた什器では、ハリコシ、しっとり、さら艶、などといった、ニーズに合わせた提案を行っている。また、「ヨンカ」「ジュリーク」「MIMC」「ラ・カスタ」などは、ブランド側からスタッフを投入。「ヨンカ」「ジュリーク」ではセミセルフ型では初のキャビンを導入し、ディープな接客もかなえるものとした。
さらに、コンセプトショップを展開するゾーンでは、三越伊勢丹の子会社マミーナが開発した雑貨系新業態「ザ フラワー スタンド ケイタマルヤマ」と「ザ スーベニア ショップ アナ・スイ」を先行披露した。3月9日の開業と同時に、グループ40店舗で一挙に展開していく。また、新宿店でも人気だった、ネコ好きクリエイターらが手掛けるポップアップイベント「キャット イシュー」を「イセタンハウス」のこけら落としでも誘致した。
「ニッポッピン」では、「進撃の巨人」と大正紡績が協業して作った"ミカサのマフラー"や、「キャンディーガール」と「ユイマナカザト」と江戸切子職人が協業したバッグ、増田セバスチャンが金沢でセレクトした加賀のかわいい!伝統工芸アイテムなども展開する。
なお、三菱地所が手掛ける、雑貨を編集したライフスタイルショップゾーン(3階)では、「中川政七商店」「銀座 夏野」とインポート雑貨の「オクタ ホテル」「マリメッコ」などが軒を並べる、ユニークかつオリジナリティの高い集積になっている。林物産による「プライズ」は、「トム ディクソン」のライトから「ジョナサン・アドラー」のユニークな陶器、仏産紅茶の「テオドール」やフレーバー付きツマヨウジなど、エッジの立ったインテリアやギフトの好適品を用意。また、「ネストローブ/ネストローブコンフェクト」も天然素材のウエアを英国で買い付けたビンテージ什器などこだわりの空間で販売する。
大名古屋ビルヂングは1962年に開業した名古屋のランドマーク的なオフィス兼商業ビル。50周年を機に、地上34階、高さ174.7メートルの高層ビルへと建て替えに着手。昨年完成し、11月1日にオフィスゾーンが先行開業。ライフスタイル&サービスゾーンと、金融店舗が順次開業し、3月9日に商業ゾーンを含めて全館グランドオープンとなる。"名駅エリアで働くオフィスワーカー"と"ワンランク上の都市生活を目指して自らの感性でライフスタイルを編集することを楽しむ高感度な大人の男女"をコア顧客と設定。74店舗のうち、新業態が14店舗、名駅エリア初出店57店舗を誘致した。ちなみに、同ビルだけでも、約8000人のオフィスワーカーが就業する。