「ソマルタ(SOMARTA)」の廣川玉枝デザイナーは、三島由紀夫原作で、宮本亜門が演出を手掛ける舞台「ライ王のテラス」の衣装デザインを担当した。廣川玉枝デザイナーが、舞台の総合衣装を担当するのは同演目が初で、各キャラクターを表現した20体の衣装を製作した。
俳優の鈴木亮平が主演を務める「ライ王のテラス」は1965年、三島由紀夫が、アンコール・ワット寺院の北にある城砦の都市遺跡、アンコール・トムに着想を得て、4年の歳月をかけて書いた戯曲だ。史実にフィクションを交えたストーリーは、12世紀後半にカンボジアで栄華を極めたジャヤ・ヴァルマン7世の肉体が、アンコール・トムの中心にあるバイヨン寺院が完成するにつれて、病魔で滅びていくというもの。王の精神と肉体の対比を、壮大な観世音菩薩が完成する様や、アンコール王朝の衰退に重ねて描いている。
廣川玉枝デザイナーは、同舞台の総合衣装を手掛けた経緯について、「宮本さんとは、以前から知り合いだったが一昨年、西武渋谷店で開催した私の展覧会を観て、声をかけてくれたのがきっかけ。衣装製作にあたって、カンボジアに行き、三島由紀夫さんが辿ったルートに沿って旅をした」。衣装のデザインについては、「カンボジアの民族衣装などを参考にして、実際に1枚布で作ったアイテムもある。『ソマルタ』では自身が作りたいモノをベースにコレクションを作っているが、舞台衣装は皆の意見や思いを形にする工程がユニークで面白かった」とコメント。「ライ王のテラス」は3月17日まで、赤坂ACTシアターで公演中だ。