アマゾンがニューヨークを拠点にするECサイト、モーダ・オぺランディ(MODA OPERANDI)と提携し、ラグジュアリー・ファッション・ビジネスに参入した。提携により、アマゾンアカウントを使用してモーダ・オぺランディ上で買い物が可能になった。5月にはアマゾンのサイト上でモーダ・オぺランディに誘導する広告企画商品も打ち出す予定だ。また、モーダ・オぺランディのショールームや実店舗でもアマゾンアカウントで決済できるサービスも開発中だ。
パトリック・ゴチエ(Patrick Gauthier)=アマゾン ペイメンツ(AMAZON PAYMENTS)副社長はECショッピングについて、買い物を完了する"チェックアウト"プロセスより、会員としてサイトに"ログイン"するプロセスの方が新顧客にとってネックになる場合が多いという。今回の提携により、モーダ・オぺランディを初めて利用する客が一から個人情報を入力して登録する必要はなく、既に持っているアマゾンアカウントでログインができることがメリットだ。また、アマゾンアカウントを利用すればパソコンからモバイル、さらには実店舗まで買い物ができるようになる。実際同サービスをローンチした2日後に1万2000ドル(約129万6000円)のリングを購入した客がいたという。デボラ・ニコデムス(Deborah Nicodemus)=モーダ・オぺランディ最高経営責任者は「早速新顧客を獲得した。課題だった新顧客獲得も、アマゾンの既存顧客ならばスムーズに獲得することができるだろう」とコメント。一方エヴリン・キム(Evelyn Kim)=モーダ・オぺランディ チーフ・マーケティング・オフィサーは「真のラグジュアリーサービスとは、商品だけでなくショッピングプロセスそのものがスムーズで、迅速であることではないか。当社もアマゾンも顧客中心主義のIT企業で、常に最新技術を生かしたイノベーションを追求している。そこからシナジーが生まれるのだ」と語った。アマゾンにとってこの提携はラグジュアリー・ビジネスに参入できる他、商品在庫はモーダ・オぺランディが負担するのでそのリスクを担う必要がない。一方、モーダ・オぺランディはアマゾンの技術を利用することができ、これから始まる広告企画商品やプロモーションにより今まで以上のトラフィックがサイトに誘導される。今後はアマゾンプライム会員に提供される配送サービスをモーダ・オぺランディにも導入するために取り組んでいるという。
近年、アマゾンはファッションビジネスに多額を投資しており、急激に成長している。2000年にはディスカウントECサイトショップボップ(SHOPBOP)、11年にはフラッシュセールサイトのマイハビット(MYHABIT)を買収した。その他13年にアマゾンのサイト内に「デレク ラム 10クロスビー(DEREK LAM 10 CROSBY)」のショップインショップをローンチし、同年にファッションアイテムの商品画像をメーンに撮影する、約3700平方メートルのフォトスタジオをオープンした。プライベートブランドやオンライン上のPR番組もスタートしている。一方、モーダ・オぺランディは11年に立ち上がり、ランウエイで発表されたコレクションのプレオーダーを受け付けている、ラグジュアリー・ブランドをメーンに扱っているECサイトだ。「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」「エリー サーブ(ELIE SAAB)」「ニナ リッチ(NINA RICCI)」「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」などをそろえる。
Rachel Strugatz訳 WWDジャパン編集部