会場の床は、一面の落ち葉。今シーズンの「トラサルディ」は、郊外の山小屋で過ごす休日のイメージ。すでに使い古されているようなシーン設定だが、そこにウミット・ベナン特有のアク、たとえば、ワインやネイビー、ビリジアンを主体とするボールドカラー限定の色使いや、畝(うね)の極めて大きなコーデュロイで作るダブルのセットアップなど、を加えて、凡庸に終わらないコレクションに仕上げている。
しかしながら、今回のアクはいままでに比べるとかなり控えめ。セットアップは21世紀仕様にアップデートされ、ロング丈のジャケット&フレアパンツの70'sシルエットからついに脱却。ブランドのアイデンティティであるレザーも、ジャケットのポケットやポンチョのトリミングなど部分使いに限定されてリアルだ。
多様な素材使いの「山ボーイ」&「山紳士」スタイルは、正直ダウントレンド。日本のブランドにも競合は多く、このスタイルが爆発的に売れるとは言いがたい。しかし、伝統と自身の世界観を押し出しすぎるあまり、ニッチに向けたブランドというイメージが植え付けられそうになりかけているタイミングにとっては、アクの抜けたスタイルはちょうどいい。当初の“ウミット・ベナン”ブームが一段落した今においては、ちょうどいいさじ加減のコレクションだ。
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