パリメンズの新人デザイナーの中でも、頭ひとつ抜き出た存在の「アミ アレクサンドル マテュッシ」。「ジバンシィ」「マーク ジェイコブス」といったビッグメゾンでキャリアを積んだデザイナーのアレキサンドル・マテュッシは、今の男性の等身大のウエアを発表し、着実に支持を得ている。5シーズン目の今季、初めてパリメンズでショーを開催した。舞台は電車の中という、日常を切り取った設定。というのも、「アミ」とはデザイナーの最初と最後のイニシャルと、フランス語の「友達」という両方の意味を持つ。“友達が着たいと思う服”をテーマに、彼らが電車に乗る時の服をイメージした。
会社に行く人や遊びに行く人、さまざまな人が行き交う電車の中のように、シックなスタイルからストリートを感じさせるカジュアルダウンまで、バリエーションは幅広い。チェスターコートの中には、鮮やかなブルーのジャケットやボリューミーな大柄のマフラーなどの遊び心が。真っ赤なブロックチェックのボアブルゾンにはGジャンのセットアップ、さらに同じく赤のボーダーニット。同色を掛け合わすことで、カジュアルになりすぎず洗練された大人のアメトラに仕上げた。“キレイ目なカジュアル”という、今のメンズの気分を象徴したコレクションだ。
フィナーレには、実際にパリの電車内で歌っているという黒人アーティストが生演奏を披露し、会場を沸かせた。デザイナー自らが地下鉄でスカウトし、出演に至ったという。ユニークな発想と、「着たい」と思わせるリアルなメンズクローズで、今季もまた話題となりそうだ。
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