ファッション

【パリ・メンズ速報】「ポール・スミス」、程よく明るいフォーマルにオプアートのエッセンス

 欧州の経済危機が原因か、それとも「端正なフォーマル」をストイックに求めてしまったがための結果なのか、2013-14年秋冬のメンズは、総じてダークトーンに傾いている。注目のカラーは、黒から墨、そして深いブラウンからベージュ、そして様々なグレーというシーズン。そんな中、「ポール・スミス」が明るいのに上品なカラーパレットと、万人に愛されそうな控え目なギミック、そしてウィメンズの一大トレンドとなったオプティカルアート(以下、オプアート)のエッセンスで、完成度の高いコレクションを発表した。


 刺し色に用いたカラーパレットは、若干ダル(くすんだ)カラートーンに傾かせたグリーンやピンク、そして鮮やかなパープルなど。今シーズンは上下同じカラーでまとめるセットアップ提案が目立っているが、「ポール・スミス」はセパレート提案が充実しており、消費者フレンドリーだ。そんなジャケパンスタイルの“ツラ”を決めるジャケットは、ラペルが“半・トロンプルイユ”仕様。ラペルをコートの身頃に接着しているのか、それともノーカラーのジャケットにラペルの形を模したエンボス加工をほどこしているのか、どちらか判然としないくらいラペルとコートを密着させている。ラペルが大きく存在感を放ってくると、必然的にその洋服はフォーマルな雰囲気が高まり、結果若年層には“ハードル”の高いアイテムにまとまりがち。そんな人々に手を差し伸べているかのようだ。


 また、シャツは台襟と身頃に加えたストライプのピッチ(幅)を若干変えることで、オプアートを楽しむとともに、ジャケットのインナーとしても、それ単体でも使える一着にまとめている。モンドリアンルックに通じるカラーブロッキングや、壁に絵の具をぶちまけたかのような抽象的なプリントなどを加え、今シーズンのメンズにおいて絶対的に欠けていた「色と遊ぶ」楽しさを再認識させてくれた。ピリング(毛玉)をあえて加えたチェスターコートや、フェイクファーのマタギ風ベストなど、トレンドもしっかり押さえている


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