「トム ブラウン」の舞台は、木の骨組みにドアだけが取り付けられた家。そこには、グレーのスーツを着て、カナヅチをトントン打っている不気味なモデルたちが。ショーがスタートし、ランウェイに現れたのは、ショルダーが上がり、正方形のシルエットを描いたファーのケープ、前から見ると長方形に見えるボックスシルエットのボトムス。ハットの形からサングラス、ブリーフケースといったアクセサリーに至るまで、すべてが“四角形”のシェイプに埋め尽くされた。モデルたちはその木の家の中を徘徊し、ゆっくりと後にする。ウエアは、黒やグレーを基調にした同系色のグラデーションでまとめた。
ダブルブレストジャケットの肩は厚いパッティングで水平に持ち上げられ、ひじのエルボーパッチも四角形。ウールに型押しした柄も、グレンチェックやウィンドーペンを星型とミックスした四角形だ。近年、メンズのシルエットはどんどんリラックス化し、丸みを強調するコクーンシルエットなども多く見られる今季の潮流に、あえて真っ向からアンチを唱えてカウンターパンチを食らわせたかったのだろうか。もともと、同ブランドのコレクションの多くは店頭に並ぶコマーシャルピースとはならない。しかし、今のメンズで求められている“ウェアラブル”な服とはかけ離れており、何を伝えたかったのか、その真意はわからない。
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