パリメンズ最終日の夜8時。パレ・ロワイヤルでエディ・スリマンによる「サンローラン」にとって、初めてのメンズ・コレクションが開かれた。
コレクションは、率直に言えば「ゼロゼロ年代(2000年前後)」のエディ・スリマンそのもの。ファーストルックからラストルックまで、ボトムスは終始スーパースキニー。レザーのバイカーズパンツには複数のファスナーが走り、ダメージデニムのほつれには細いチェーンがあしらわれるなど、ロックな“味付け”も健在だ。
そんなボトムスに合わせたのは、ウィメンズ・コレクションにも通じるグランジテイストのアイテム。起毛感の高いモヘアで作ったローゲージのボーダーニットやジャケットよりも長いひざ丈のネルシャツなど、使い古した雰囲気のアイテムを、時にボトムス同様ジャストで、時にコントラストを描くようにオーバーサイズで着こなし、ストリート感を高めていく。しかし、そんなスタイルを最終的に「キメる」チェスターフィールドのコートやジャケットは、「サンローラン」のメゾンコードを重んじたサルトリア仕立て。グランジとクラシックフォーマルを組み合わせ、明確に区別されたスタイルを組み合わせることで、反骨精神の象徴とも言えるロックテイストに帰結するというコレクションだ。
ショー直後に様々な人からコメントを求めると、コレクションそのものに対する評価はウィメンズ・コレクション同様、賛否両論真っ二つというカンジだ。賛成派は、やはりバイヤーや業界人にも数多い“元祖・エディ信奉者”。大ファンを公言してはばからない雑誌編集者の一人は、「全部買いたい。もちろん、半年後に向けて、やせなくっちゃ」と話す。一方、新しいものを求めるジャーナリスト陣は、「予想の範囲内に収まったカンジ。『サンローラン』というより、エディだった」と話す。どちらのコメントも真実で、それぞれが業界の一面を端的に表しているだろう。
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