秋冬シーズンにおいてはメゾンアイコンであるコートが注目される「マックスマーラ」。今季は20世紀モダニズムを象徴するバウハウスに着想し、緻密に計算されたボリュームコントロールと異素材の組み合わせで本領を発揮した。
1919年、建築家ワルター・グロビウスが独ワイマールに創設したバウハウスは、同地の美術学校と工芸学校を合併し、デザインやアート、建築の分野でモダン主義を提唱した学校。工業的なエッセンスと伝統工芸技術とのバランスから生まれたモダンデザインは、メゾン創設以来60年以上にわたって“既成服におけるイタリアン・デザイン”の可能性を追求してきた「マックスマーラ」の創作哲学にも通じるもの。
肩ラインを大きく広げた分量感たっぷりのキャメルコートやカーディガンコートにオーバーサイズのジャケットを重ね、流れるようなフリュイドパンツがシルエット全体を誇張する。メンズライクなブレザーやボンバージャケットにはフェミニンな膝下丈のペンシルスカートを併せてコントラストを描く。「マックスマーラ」のキーカラーであるキャメルやビキューナベージュを主軸に、カシミアやモヘアなどの天然素材に光沢感のあるテクノファブリックを組み合わせたアイテムは、ハイブリッドな存在感を放っている。イブニングドレスのパートでは、フェミニンなベルベットのチュニックや、ブレザーに合わせたルレックスのパジャマパンツなど、素材感やボリューム、マスキュリンとフェミニンとのバランスを見事にコントロールしながら、トーン・オン・トーンのカラーパレットで迫力あるコレクションを披露した。