先シーズンはヴィンテージ加工した40年代風プリントドレスで喝采を集めた「ボッテガ・ヴェネタ」。今季はウールを中心としたソリッドな素材使いで、フォルムとボリュームに特化した作品で、静謐な官能美を描いた。漆黒のウールで仕立てたコートドレスで幕開けしたコレクションは、肩やウエストラインを丸くシェイプしたシルエットが印象的。ルックが進行するにつれ、袖や裾、見頃に折り紙のような同素材の装飾が加わって、独創的な構築美で魅了していく。基本はウールフランネルだが、一枚仕立てのようにボンディングしたり、洗いをかけて表面を毛羽立たせたり、ボイルしてフェルトのような質感に仕上げたりと、様々な表情を見せている。そこにレザーやシルク、サテン、ラッカー塗りしたストローなどの異素材が組み合わされ、アブストラクトアートのような印象だ。素材のカッティングも縦に入れた切り込みでユニークなシェイプを強調している。
クリエイティブ・ディレクターのトーマス・マイヤーは、「今回のコレクションはプロポーション、正確性、着心地の良さ、そして素材のシンプルな美しさを追求している」とコメント。その言葉通り、卓越したクラフツマンシップを信条とする「ボッテガ・ヴェネタ」のアトリエによって、シンプルでソリッドなウール素材が、前回のプリント素材に匹敵する饒舌さを放っている。大きくボリューミィに膨らんだカールヘアのモデルたちの雰囲気とも相まって、どこかノスタルジックで、どこか近未来的という、時空を超えた官能美を漂わせるコレクションだ。
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