会場の外は雪が舞う中、ファーストルックのモデルが登場すると、会場内のボルテージはヒートアップ。薄暗いランウェイにスポットライトを浴びたモデルは、まばゆいばかりのカラーストーンやモザイクが散りばめられたティアラをかぶり、モザイク画が描かれたゴールドのドレスが、堂々たる存在感を放つ。
先シーズン、故郷であるシチリアの夏を描いた「ドルチェ&ガッバーナ」は、今回、モンレアーレ大聖堂のモザイクからインスパイアされたコレクションを披露した。モンレアーレとは、11世紀にノルマン人がシチリアに侵攻した際に拠点となった土地。そこにあるモンレアーレ大聖堂は、サンタ・マリア・ヌォーバ(聖母被昇天)に捧げる教会として、1172年から1185年にノルマン・オートヴィル朝のグリエルモII世(ウィリアムII世)によって建設されたもの。その美しい司教宮と修道院の回廊の内部のモザイク装飾の大きさは、現存する教会の中で世界一だという。この教会を建設するため、かつて、ビザンティン帝国やヴェネツィアからアーティストや職人が集められたという。
今シーズンの「ドルチェ&ガッバーナ」は、モンレアーレ大聖堂へのオマージュとして、現代のもっとも優れた技術を持つ職人を集め、モザイクモチーフのドレス、シューズ、ジュエリー、バッグを作りあげた。前半は、モザイク画をモチーフにしたAラインドレスやボックスドレスに、クロスの大ぶりのネックレスやイヤリングを合わせたルックが多く登場した。ゴールドを基調に深紅やブルーのカラース—ンがあしらわれ、歩くたびにまばゆいほどに輝きを放つ。足元はモザイクがはめ込まれたヒールでデコラティブだ。中盤は、ウールやシルクオーガンザを使用し、グレーを基調としたヘリンボーンやチェックのクラシックなセットアップ、Aラインコート、ペンシルスカートを提案。終盤は、「ドルチェ&ガッバーナ」の得意とする繊細なレースを用いたエレガントな黒、鮮やかな赤、純白やエンブロイダリーのドレスでエレガントな女性を描きだす。シルエットはAライン、ボックス、コクーン、ペンシル、ロング丈とさまざま。中でも裾に向かって広がるベルスリーブ・ドレスは、今季のトレンドとなりそうだ。
ラストは、モデル全員が豪華なビジューをあしらった真っ赤なレースのドレスで登場する圧巻のフィナーレ。故郷に想いを馳せ、クチュール級の技術を集結した真摯な作品は、彼らの魂のこもった渾身のコレクションだ。
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