タイムレスを信条とする「エルメス」のクリエイティブ・ディレクターを兼務するようになって以来、クリストフ・ルメール自身のコレクションも永続性が高まっている。「エルメス」との違いをあげるなら、それは旅のエッセンスが入るか否か、「エルメス」というブランドの骨子となる上質なレザーやシルクが含まれるか否か、そして、マニッシュなムードが強いか弱いか。マニッシュな要素をよりたくさん詰め込み、まるでデザイナー本人のようなスタイルに仕上げるのが「クリストフ ルメール」だ。
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今シーズンは、打ち込みのよいメルトンで作った、ラペルの大きな男前コートからスタート。チェスターからトレンチ、ピーコートまで様々なバリエーションを用意したが、いずれも高い位置でベルトを使いウエストマークするか、反対にローウエストの1960年代調にするかで統一した。時代に呼応する、コクーンシルエットは、驚くほど少ない。トレンドに左右されることなく、長く愛することができる一着を用意しようとする姿勢だ。ハイウエストとローウエストのバリエーションは、顧客の要望に応えるためのシルエットと考えるべきだろう。
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だからこそ、コートには芯地もしっかり入れ、アームホールなどを極端にコンパクトにすることはしない。ただ、それでもエレガンスに見せなければクリエイターとは呼べない。そこでルメールは、コートの袖、ボトムス、そしてバックストラップのパンプスなどにバナナシルエットを採用。可動域が大きな二の腕やひざ回りは太くしつつ、裾や袖にかけて細くなるシルエットを多用することで、着心地と凛とした強さの両立を図った。
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