いくらトレンドアイテムだからと言って、すべてのブランドがコクーンシルエットのマスキュリンなコートを提案する必要はない。体にピッタリ沿わないボリュームシルエットや、ツイードや英国発のチェック柄に代表されるメンズ由来の素材使いという流れが根強い中、「ニナ リッチ」は、ボディラインをしっかり見せるクラシカルなフェミニティと女性だからこそ楽しめる柔らかなファブリックをしっかり提案。このブランドが長年顧客として抱える上品なマダムや、その娘世代にしっかりアピールする"完全顧客主義"のコレクションを発表した。
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ダンサーの引き締まった体や、背筋をピンと伸ばした姿勢、そして練習を重ねることで手に入れた凛としたオーラなどを表現したという。序盤は、せっかく手に入れたボディラインをしっかり見せていこうというパート。カシミヤとメリノウールで作るニットは、コンパクト丈ながらウエストのリブは大き目で、ウエストラインをしっかり強調。合わせるスカートは、ミディ丈のペンシルシルエットで、深いスリットをしっかり刻んでいる。コレクションの名脇役は、バレエダンサーが練習中に身につけているような、ミラノリブのアームウォーマーと、肩にかけ胸元で袖を結んだイメージのニットボレロ。ここからコレクションは、「トレンドを必死に追いかけるつもりはないけれど、そのムードくらいは味わってもいいかも」というワガママなコンサバ女性に向けたアイテム群に進化。たとえば、ブークレと見間違えるくらい起毛したウールのジャケットは、同じくウエスト周りは体に沿っているものの、肩周りが身頃も袖もボリューミー。大きな肩周りとコンパクトなウエスト周りを特徴とするシルエットは、結果柔和な曲線のラインを生みだし、それが女性らしさをさらに強調する。
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サテンの最高級品と称されるダッチェスサテンに柔らかなシフォンで装飾を加えたネグリジェ風ドレスや、生地を丁寧に折りたたむことでバラのモチーフを描いたラジミール(シルクの一種)ドレスなどは、そんなダンサーを見に来た女性のイヴニングのイメージ。こちらは、「ニナ リッチ」とピーター・コッピングが得意とするテイストの集大成。顧客が待っている、「ほのかにトレンドの香りがする、女性らしさをタイムレスに表現したデイウエア&ドレス」をしっかり提案してくれた。
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