だからこのブランドは面白い。「メゾン マルタン マルジェラ」は、ボリュームシルエットとノッティング(KNOTTING。カッティングではなく、生地を結ぶことで成形するテクニックのこと)、そして異素材のパッチワークでウィメンズの頂点に君臨する「セリーヌ」に、声高らかに宣戦布告!結果、このブランドらしい、アグリービューティとアヴァンギャルドを兼ね備えた、痛快なコレクションに仕上がった。
胸元でネクタイのように結んで斜めに流すトップスは、「セリーヌ」の2013年春夏を彷彿とさせるようなアイデア。「セリーヌ」は肉厚のサテンをメインに軽やかにフェミニンにまとめたが、「マルジェラ」はピンストライプのスーツ地で、このブランドらしい"野性味"に溢れる仕上がり。少し脱線すると、ショー会場にはウッドチップを圧縮して作った板を敷き詰め、ショーではその見た目を模した目の粗いチュールにカラフルな糸をランダムに刺繍したトップスを用意したが、それは、「セリーヌ」が同じく床に板をパズルのように敷き詰め、木目プリントのウエアを発表した11-12年秋冬を思わせる。
そして終盤は、ペラペラのサテンやチープなコットン、ベロアなどを長方形に切り出して繋ぎ合わせたドレス群。これもまた、「セリーヌ」をきっかけに世界的に広がったアイデアだ。敢えて安っぽい素材を使ったあたりから、「『セリーヌ』のように、超高級素材ばっかり使わなくてもカッコよくなるよ」という「マルジェラ」のメッセージを感じるのは、"買いかぶり"すぎだろうか??
アクセサリーは、「セリーヌ」の"トラペーズ"を感じずにはいられない、長方形から三角形がハミ出たフォルムのビッグクラッチ。「セリーヌ」にご執心の業界人、結果「セリーヌ」風にコレクションをまとめがちな世界中のメゾンを明らかに皮肉っている。
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