管弦楽のオーケストラがバッハの楽曲を奏でる舞台演出でランウェイショーを発表した「アクリス」。創業者ファミリーで現在クリエイティブ・ディレクターを務めるアルベルト・クリームラーにとって、このコレクションは、昨年12月に他界した最愛の母に捧げるものだという。そんなレクイエムを込めて、ステージに登場する作品は1点のホワイトファーを除いてすべて黒一色にまとめられた。
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街灯の残像をイメージしたという白いラインがボディを横切る漆黒のセットアップスーツに始まり、タートルネックのコートや、シンプルなブラウスとペンシルパンツの組み合わせなどは母親が好きだったワードローブのアイテムを意識したスタイルだという。
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得意のダブルフェイス・カシミアを多用し、本拠地であるスイス・サンガレンのレース使いや精緻な刺繍を施したコレクションは、このブランドに顧客が求めている「ディスクリートラグジュアリー」の本領を見事に発揮した、アルベルト・クリームラー渾身のコレクションといえる。コレクション中盤に登場したラムファーで仕立てられた純白のコートが、母を失った彼の悲しみの中に差す一筋の光を象徴しているように感じられた。
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