ファッション

【パリ速報】ホテルを舞台にデカダンな官能美を描いた「ルイ・ヴィトン」

 巨大な回転木馬、蒸気機関車、エスカレーターに続くアイデアは?ルーブル美術館の中庭に建てた特設テントで、毎シーズン趣向を凝らした舞台演出で驚かせる「ルイ・ヴィトン」。会場に入ると、壁一面に古いホテル(おそらくはパリのグランド・ホテル)を思わせるノスタルジックな壁紙と部屋番号が記された50の扉が観客の期待を煽る。午前10時きっかりに会場が暗転してショーが始まると、それぞれの部屋から部屋着風のドレスをまとったモデルたちが次々と出てきて、円形のランウェイをけだるそうに歩いていく。開けられたままの扉の隙間からは、「ルイ・ヴィトン」のアンティークトランクが置かれたベッドルームに、情事を終えたばかりのようにシャツを着る男性やベッドでくつろぐ女性などの映像が投影され、ノスタルジックなモノクロ映画のような情景が浮かぶ。

 「今シーズンのコレクションは50年代のハリウッド映画のような気分で、ベッドルームを舞台にした女性のデカダンスやノンシャランな官能美を表現したかった」と語るマーク・ジェイコブスの言葉通り、刺繍を施したパジャマドレスにサンダルを合わせ、部屋着風のガウンを纏ったレースのネグリジェなど、けだるく官能的な雰囲気がステージに漂う。中でもランジェリー風のチュールドレスにホットパンツ姿で登場したケイト・モスに喝采が湧いた。グイド・パラウが手掛けたモデルのヘアも、往年のハリウッド女優を彷彿とさせるカーリーで濡れたようなウィッグで退廃的なムードを煽る。

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 今季のバッグはスピーディやロック・イット、ポシェット・アクセサリーにフォーカスし、ヴィンテージ加工したウッドハンドルを付けたミンクのスピーディや、輝石で飾ったポシェット・アクセサリーなどが印象的。オプ・アートをダミエ柄で表現した先シーズンのモダニズムから一転、モノクロ映画のようにノスタルジックな世界を表現した「ルイ・ヴィトン」劇場が魅せる引き出しの豊かさに、老舗メゾンならではの伝統とマークの才気を改めて実感させられるコレクションだ。

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