コンセプチュアルアーティスト、ダニエル・ビュレンからインスパイアされた。ビュレンの作品で特に有名な、パリのパレロワイヤル広場にある、黒と白のストライプの円柱のオブジェは3種類の高さから構成されている。コレクションではその高低の違いが、服の丈の違いで表現されている。モデルは同じ背丈で、ヘアメイクも全く同じ2人組。会場内にセットされた4機のエスカレーターから等間隔で降りてくる。その規則性や連続性が、同じ素材や柄で作った服の丈の違いを強調する。
服は基本Iラインのすっきりとしたシルエット。前シーズンまで見られたフェミニンな装飾はそぎ落としている。代わりに取り入れたのが今シーズのもうひとつのキーワードであるダミエのモチーフだ。あらゆるアイテムにダミエモチーフを取り入れ、時に上から総スパンコール刺繍を施すことで、よりモダンなイメージにつなげている。「ここ数シーズンはコレクションがロマンティックだったので、今回はあえてモダンにクールに徹した」とマーク・ジェイコブス。視覚効果を楽しむモダンアートのようなアプローチは、まさに今シーズンをリードするもので、ショー自体がポップアートのよう。連続性という意味では、最近コラボレートしたアーティスト草間彌生の影も見てとれる。