吉井雄一がオーガナイズするB to Cイベント「ヴァーサス東京」の一貫として、ウェブマガジン「ハニカム」がプロデュースし、スタイリストでフォトグラファーの熊谷隆志がスタイリングとディレクションをするランウェイショーが開かれた。
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前半は、東京のメンズファッションを牽引する9つのセレクトショップにフォーカスし、熊谷隆志の目線で2013年春夏のスタイルを2ルックずつを提案。柄のショートパンツにジャケットをベースに、色やアクセサリーで遊びを加えてリラックスした"夏の少年スタイル"を提案した。ショーを行なった理由について熊谷は、「東京のメンズファッションは、アメリカンカルチャーを吸収して成長してきたが、今はそんな東京スタイルが海外から逆輸入される傾向にある。そんな世界から注目される東京のファッションをもっと、ここ、東京から発信したいと思った」と話している。
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後半は、熊谷隆志がデザインする「ネサーンス」の2013?14年秋冬の単独ショー。「自分はこんな風貌だから服くらいは優しくしようと思って」と熊谷。白樺の森や冬枯れた大地の写真を背景に見せた服は、そんな冬景色にとけ込むナチュラルでスタンダードなもの。杢調の厚手のモヘアニットのセーターと"トレパン"のセットアップや、赤い靴下をのぞかせるワンウォッシュのロールアップデニム、褪せたフレンチチェックのシャツと洗いざらしのコットンベストなど、熊谷自身が似合う自然体なアイテムが揃う。青とブラウンが混じったツイードなど、大地の色を彷彿とする色使い、洗いをかけた素材使いが服に深みを与える。
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クロップドパンツを合わせるコーデュロイのスリーピースなど、カジュアルな中にフォーマルな要素を差し込んでいる。また、くるみボタンやワークジャケットに見るブリティッシュスタイルに、熊谷自身が常に好むアメトラの要素を織り交ぜているところがポイントだ。
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「シンプルなものばかり」と熊谷自身は言うが、スワローテイルのメルトンのタキシードジャケットや、脇をケーブルニットで切り替えた真っ白なダッフルコートなど、細かなデザインアイデアも見られ、ショーへの意欲を感じさせる。
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