「桜みたいだったでしょ?」とデザイナーのピーター・コッピングが話すように、紙吹雪が舞う静謐でロマンティックな演出でショーはスタート。しかし出てきた服は、そのソフトなムードを切り裂く、パンキッシュでエッジィの効いたものだった。「ロンドンのストリートファッションやパンクをパリの洗練されたファッションとひとつにした」と、イギリス生まれのコッピング。フィッシュネットやジッパー、グレンチェック、トレンチコート、玉虫色のハイテク素材、服を切り裂いたようなアシンメトリーな生地の使い方などにパンクとイギリスの要素は見てとれる。それを非常にシックに、そしてロマンティックに仕上げるあたりに彼の力量が見てとれる。
例えば、フィッシュネットは素肌に着る以外に、ジャカードのトレンチコートにプリントで取り入れるなどアイデアが豊富。ジッパーは、シルククレープのスカートやドレスに大胆に走らせている。たくさんの要素を集めつつも、最終的にはメゾン特有のロマンティックなスタイルに小気味よく落とし込む、そんなコッピングのアイデアはまだまだつきそうにない。