会場は元貴族の邸宅。それぞれの室内がすべて白いビニールに覆われ、中に入ると温室のように暑い。そんな真っ白な温室の中でショーのスタートを待っていると突然、聞き覚えのない言語(アラブ語?)のまくしたているような早口言葉をのせた音が鳴り響きショーはスタート。真っ白な温室と呪文のようなサウンド。そんな奇妙な環境で登場する服もやはりどこか奇妙だ。
デザインテーマは「スカートの再解釈」。デイ&ナイト、男性的&女性的などコントラストを生かしたスタイルを並べた。ファーストルックは白いレザーのチューブトップイヴニングドレス。身体がぴったりと覆われ歩くモデルもややぎこちない。洋服に拘束されているかのようにぴったりと身体に巻きつき、膝上でスカートがずり上がる(膝上にダーツが入っているため意図的)。春夏コレクションといえど、素材はレザーや厚みのある素材を用いられている。その後は、平面的な洋服に身体を入れたようなスタイル。バックスタイルに驚かされる。深いスリットは入っていたり、背中が露わになるほど深くカッティングされていたり。時には紐のみだったり。終盤はマキシ丈のドレス。白と黒、グレーのバリエーションにパープルやフォレストグリーンのワントーンドレスは、冒頭とは打って変わり、透ける素材や軽やかな素材を採用。奇妙な印象のコレクションながら、一点一点のスタイルは美しく優雅だ。共通項はロンググーローブとワントーンコーディネイト。