オーガンジー素材に黒い光沢プリントを施し、ゴミ袋を思わせるドレスからコレクションはスタートした。バルーン状に膨らむドレスだが、実はゴミ袋のパターンを採用したものだった。また、リサイクルのマークをモチーフにした柄や、様々な生地や柄を寄せ集めたマキシ丈スカートやパッチワークシャツ。モデルには、ニットのマスクを装着させている。「明確な答えはありません。見る人によって感じることは違うと思うし、想像を膨らませてほしい」とデザイナーの髙島一精。中には、ガスマスクを思わせるニットマスクもあった。柄をコラージュし、残布のようなチェック生地をヘムラインに垂らす。リサイクルと言えば簡単だが、髙島の心の中には「新しい価値観を想像した。常に価値観を模索している」という。社会の動きに敏感な同デザイナーは、東日本大震災後にも、自然に対する敬意や恐ろしさをファッションショーで表現している。ニットやデニムを使ったカジュアルウエアは東京のストリートに映え、非常に魅力的に映るが、実際のメッセージは深いものだ。渋谷のライブ会場を発表の舞台に選んだのも「雑多で真っ暗な空間で、緊張感を演出したかった」と語っている。