「ウミット・ベナン」のショー会場は、古きよき小さなシアター。ステージの下にはテーブルが並べられ、来場客は白ワインをたしなみながらショーのスタートを待った。軽快にリズムを刻む太鼓の音でスタートしたコレクションは、ウミット・ベナンの故郷であるトルコのルーツが存分に詰まっていた。トルコの伝統的音楽の生演奏の中、コミカルにも不気味にも見える、顔の絵が描かれたお面をかぶったモデルたちがステージから客席へと降りてくる。
オスマントルコのジェントルマンからインスパイアされたウエアは、ウミットが得意とするアクの強さを感じさせるテーラード。レンガ色やボルドー、ブラウンなど、まるで秋冬のようにこっくりとした濃色のカラーパレットも、このブランドらしい組み合わせだ。スタンドカラーが特徴的なネールジャケットや、ロング丈のカフタンドレスなどをテーラードにミックスし、ウミット流のエスニックスタイルを完成させた。
最近はストリートの要素を取り入れたウエアなどを発表していたが、今シーズンはブランドのアイデンティティを存分に反映した印象。しかし、カラーやシルエットには既視感が否めない。原点回帰した後の次シーズンは、新たな提案に期待したい。
?
【コレクションの全ルックはコチラ】