三越伊勢丹ホールディングスは、SPA(製造小売り)事業に本腰を入れる。これまで仕入れ構造改革の一環として取り組んできたが、百貨店だけでなく国内外での卸売や単独出店も強化し、2019年3月期には売上高で500億円規模に拡大する。地方店で大手アパレルの業績不振による店舗閉鎖や在庫削減が相次いでいることも背景にある。11日に会見した大西洋・社長は「支店(地方店)ではNB(ナショナルブランド)の縮小が重なり、SPA化を進めないと売り場が埋まらない状況になっている。在庫や人員のリスクもあるが、覚悟を決めて取り組む」と説明した。
同社のSPA化の成功モデルとして語られる婦人靴のPB(プライベートブランド)「ナンバートゥウェンティワン」は、中心価格1万1000〜1万3000円のパンプスなど百貨店が苦戦している中間層の支持を集め、売り上げ足数で1位になった。消化率も80%に達し、収益性が高いのが特徴だ。この成功モデルを「イセタンメンズ」「BPQC」「スライス・オブ・ライフ」「イセタン タータン」など他のPBに波及させる。地方店ではPBの面積シェアを20%に高める取り組みも始める。