アシックス(ASICS)は「オニツカタイガー(ONITSUKA TIGER)」の渋谷店(渋谷区神南1-21-3 渋谷神南共同ビル)で、デザイン集団「TOMATO(トマト)」のジョン・ワーウィッカーによるインスタレーション作品を展示中だ。渋谷パルコで行われている25周年記念展「THE TOMATO PROJECT 25TH ANNIVERSARY EXHIBITION "O"」のイベントの一環として、パルコミュージアムで3月19日にワーウィッカーのライブベントを開催。一般客らが見守る中で、黒と白のアクリルエマルジョン塗料を、B5サイズの板と、ガムテープのような円形素材をスタンプのように用いて、版画とペイントをミックスさせた技法で白いキャンバス地に描き続けていったもの。
ワーウィッカーはTOMATO創設メンバーで、「アンダーワールド(UNDERWORLD)」の協業制作者でもある人物。大学教授なども務め、若者の育成をライフワークとしている。ライブイベント中にも真剣なまなざしで作品に対峙しつつ、「作品作りにはゴールを作らない。描きたいところまで描き続けるので、いつ終わるかもわからない」「黒と白のモノトーンの世界だが、色盲なのでとても鮮やかに見えている」「おじいさんのラジオのチューナーを回して、音を探りながら、音と音の間にあるザーッという音を聞くのが好きだった。街の雑踏の中にいるときにはいつもそんな感覚で歩いている」「同じ手法は使わない。今回の輪も初めて使った」などと、自身の創作活動のスタンスなどについて説明。
完成した後には、「今朝、最初に見た光景が、雨の降った後の街だった。白と黒だけで描くことで、日本と西洋の融合を表現しようと考えた。小さい頃から葛飾北斎や歌川(安藤)広重に興味があり、版画や浮世絵が好きだった。黒沢明の「7人の侍」やモネ、デイヴィッド・ホックニーなどにもインスパイアされている。丸や四角で押したスタンプも、ランダムに押しているように見えるが、きちんと計算しており、その時の感情によって乱されるものを加えていった。雨の街中にある素晴らしいリズムを、音楽の楽譜のように表現している」と作品を解説した。
また、同店では「オニツカタイガー」の人気のシリーズ「コレソン ロー(COLESNE LO)」を12個(6足)組み合わせたスカルプチャーも飾られている。TOMATOのメンバーはもともとオニツカのシューズのファンで、「美しすぎるシューズだけを使って、その用途と共鳴する作品を作れるか?」に挑戦。「ペイントと同じく、『アーバン・ドリフター』をテーマに、自由気ままに街のリズムや流れに身を任せ、始まりも終わりもなくただ歩く"ドリフター"を表現。靴と靴を交互につなげ、一つの円にした。その数は12で、偶然にも時が示す12時間と同じ数となり、この立体作品に、より象徴的な『終わりなき時』を与えることができた」という。もちろん、ワーウィッカーはインスタレーション中も、「コレソン ロー」を着用していた。
その他、スペシャルムービーや、ワーウィッカーが渋谷で感じた色をカラーチャート化したものを3Dマッピングで紹介している。展示は4月3日まで。