今シーズンのロンドンメンズのトレンドは、逞しいビッグコート。例えば「マーガレット・ハウエル メンズ」や「トム フォード」のように上品なボトムスと合わせて重厚感あるコートを軽くまとったり、もしくは老舗「クロンビー」のように技術革新のおかげで実際は軽いコートを格式高く正々堂々はおったり。いずれもヒザ丈±5センチほどの、一般的には着こなしが難しい、挑戦的なフォルムのコートを数多く提案している。コートをオリジンとする「バーバリー プローサム」は、そんなトレンドアイテムを数多く提案。しかしその"こなし方"は、どこよりも軽くエアリーで、半年前のロンドンで初のショー同様、見るものに笑みがこぼれる爽やかなひと時をもたらした。
コートと言えば、普通は秋冬。しかし伝統をポップに遊ぶことができるクリストファー・ベイリーは、(メンズに限っては)春夏こそますます冴えるデザイナーだ。そして、舞台をミラノからロンドンに移した彼は、この街の伝統や紳士のスタイルはもちろん、曇天の空からチラリと覗く太陽の光や緑豊かな街並みなど、日常生活のささやかな幸せを噛み締め、それを消費者とシェアしようという優しさも持ち合わせている。どこよりも早く取り組んだランウェイショーの動画配信は、そんな彼の優しさの具体例なのかもしれない。
だからこそコレクションは、まるで春夏のような、フンワリと舞うシルクスカーフのコート群から幕を開けた。コーチはもちろん、ノーライナー。袖付きのシルクスカーフを首もとで結んだだけのような、今シーズン一番軽やかなコートまで提案した。これに合わせるインナーも、一見すると春夏仕様。メッシュのタンクトップが代表例だ。パンツは、左右に1つずつのタックを刻んだスリムテーパード。むら染めでヴィンテージマインドを表現したレースアップシューズとスタイリングすることで、軽やかでも上品なイメージをキープしている。加えてバッグは極端に大きな半月型。シボの目立つバッファローレザーを用いることで、エアリーなスタイルがフェミニンにならないようバランスをとった。
その後もラグランスリーブやドロップショルダー、ローゲージニットで作るビッグボリュームなど、春夏に見せた「優しさ」や、小さな幸せを紡ぐことで手にする「心地よさ」を徹底的に追求した。ほとんどのコートは、パンツのポケットに手を突っ込んで闊歩すると後ろに流れるほど薄くて軽く、でもある程度逞しく、現代の男性像を的確に表現している。そして随所に登場したのは、温かみを感じさせるブランケット。カラーパレットは秋冬らしくダークだったが、それでもショーを見たものを自然と笑顔にさせる、幸せに溢れている。
【バーバリー プローサム 2014-15年秋冬ロンドン・メンズ?全ルック】
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