「ヴィクトリア ベッカム(VICTORIA BECKHAM)」のフロントローには、米国版「ヴォーグ」編集長のアナ・ウィンターの隣に夫のデビッド・ベッカムと4人の子供たちが見守る姿があった。デビュー当初は注目の的が家族になることを避け、彼らがフロントローに現れることがなかっただけに、ショーを行なう環境に慣れ、着実に自信をつけてきているのがコレクションを見ても読み取れる。
無駄なものをそぎ落とし、シンプルでクリーンなシルエットでありながらも、カッティングの美しさでブランドらしさを表現するのが、「ヴィクトリア ベッカム」の真骨頂だ。一見、前から見るとシンプルな白のドレスは、背中が大きく開いており、存在感のあるゴールドのチェーンがあしらわれている。さらにコートの後ろには、きれいなプリーツが施され、歩く度に優雅に揺れるのが印象的だ。女性のはっとさせられるような一瞬の魅力がどこにあるのかを熟知しているような服であり、ストーリーが浮かんできそうな服だ。彼女自身が日々、女性であることの美しさを探求しているのが伝わってくるコレクションだ。
チェスターフィールドコートやベストにセンタープレスのパンツを合わせたマスキュリンなシルエットから、ゆったりしたニットにロングのプリーツスカートを合わせるフェミニンなコーディネートまで、黒や白をベースにしたシンプルなカラーパレットを中心に、今シーズン多く見られる鮮やかな赤やピンクを差し色に効かせた。