ファッション

「トップマン デザイン」2014-15年秋冬ロンドン・メンズ ロンドン一の人気ブランドに望むもの

 2014年1月6日、ロンドン・メンズ・コレクションが開幕し、14-15年秋冬シーズンのコレクションサーキットがスタートした。

 開幕初日にコレクションを発表した注目ブランドは、「トップショップ」が販売するメンズ「トップマン」のコレクションライン「トップマン デザイン(TOPMAN DESIGN)」。今シーズンは、�@ハイテク技術の登用と、�A昨シーズン、ウィメンズの世界で台頭した「脱・リアル」とも思える挑戦的なシルエットの2点がハイライトだ。

 まずハイテク技術においては、PVC(ポリ塩化ビニル)の多用が印象的だ。トランスペアレント(透明)なPVCは通常なら春夏シーズン、近未来的な雰囲気を表現するために用いる素材だが、「トップマン デザイン」は秋冬に、サヴィル・ローさえ思わせる伝統的なスーツスタイルの中に積極登用。まるでラミネート加工のようにウールコートの上からボンディング(接合)したり、それ単体でポンチョのようなアウターを作ったり。ボンディングは核となったテクニックで、コートやジャケットのポケットもテープを身頃とボンディングすることで成形。レザーとケーブルニットをボンディングしたトップスも提案した。このほかにも金属糸を用い光沢感を高めたスーツなど、コレクションには意表を突く素材使いとそれを実現可能としたハイテク技術が頻繁に登場する。

 挑戦的なシルエットは、着る人にちょっぴりの我慢を強いることでピンと伸びた背筋と逆三角形の上半身を誇張するサヴィル・ローシルエットのジャケットと、センタープリーツのワイドパンツが印象的だ。この日コレクションを発表した他ブランドに呼応したかのような、ひざ下丈まで伸ばしたPコートなどは、半年前にウィメンズの世界で幾度となく現れたミッドカーフ(ふくらはぎ)丈のスカートを彷彿とさせる新しいプロポーションバランスの根幹を成す。一方、ブランケットウールで作ったフリンジ付きのGジャン風アウターなどは、これまたウィメンズの世界で勢いを増しているクロップド丈。抑揚の効いたシルエットを提案している。

 伝統的なスタイルにハイテク素材を登用するチャレンジ精神、ウィメンズのトレンドを柔軟に取り入れたクロスジェンダーの視点、そして、半年前に比べ格段に増えたバリエーションなど、評価すべき点は数多い。敢えてリクエストするなら、挑戦的な提案は少し控え目に、逆にリアルでキャッチーな要素を盛り込んでもよかっただろう。ロンドン一の人気メンズブランド「トップマン」から生まれたブランドだけに、「トップマン デザイン」は若年層の男子をファッションショーの世界に誘う役割も有している。だからこそ、彼らが一目見て「着こなせない。やっぱりコレクションは別の世界」と思ってしまうのではなく、「ラグジュアリーブランドやアヴァンギャルドなクリエイションにはチャレンジできないけれど、これなら自分でも楽しめるかも」と思わせる"敷居の低さ"があってもいい。

【トップマン デザイン?2014-15年秋冬ロンドン・メンズ?全ルック】

【2014-15年秋冬ロンドン・メンズ?関連記事一覧】

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

疾走するアシックス 5年間で売上高1.8倍の理由

「WWDJAPAN」11月4日号は、アシックスを特集します。2024年度の売上高はコロナ前の19年度と比べて約1.8倍の見通し。時価総額も2兆円を突破して、まさに疾走という言葉がぴったりの好業績です。売上高の8割以上を海外で稼ぐグローバル企業の同社は、主力であるランニングシューズに加えて、近年はファッションスニーカーの「オニツカタイガー」、“ゲルカヤノ14”が爆発的ヒットを記録したスポーツスタイル…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。