ショー会場に入るとまず目についたのは、グレーの枯れ木とクマやシカ、リス、魚といった動物たちのオブジェ。その周りを取り囲むようにシートが敷かれていた。コレクションは、グレーのツイードやチェックを多用したブリティッシュトラッド。膝上のIラインのテーラードコートにジレ、タイドアップしたシャツ、つんつるてんの7分丈のクロップドパンツなどを合わせた。基本はツイードの3ピースだが、時折キルトスカートをエプロン風にレイヤード。ウエアのほとんどは裏地に隠す縫製部分をあえて表地に出して毛羽立たせた立体感のある仕立てだ。しかし、モデルたちは頭に洋服と共生地で作られたうさぎの耳やシカの角、カエルの頭の形をした大きなアニマルモチーフの帽子をかぶり、さながら動物たちの大行進のような異様な迫力を放ちながらゆっくりと行進してゆく。
中盤には、まるで土偶のように大げさなエッグシルエット、洋ナシ型のラインを描いたセットアップが登場。木の葉モチーフを刺繍やプリントで大胆に散らしたり、もこもこのファーに鮮やかにのせたり、プリンスオブウェールズの上に別生地で張り付けたり。ジオメトリックのような総柄で新たなカモフラージュ柄に見せたワークジャケットなども提案した。かなり非現実的なシルエットは、木の葉の妖精のようなファンタジーさえ漂わせている。動物と自然が共生するのどかな理想郷を、トム・ブラウンの独自の世界観でストイックに描いたようだ。
【トム ブラウン ニューヨーク 2014-15年秋冬パリ・メンズ 全ルック】