高校の古い図書館を会場に選んだ「ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME DES GARCONS)」。レンガ色のタイルを敷き詰めた床や、金網に守られた古い書物など、知的な空間が広がる。
バッハやシューベルトのピアノ音楽が流れる中、登場したのは、丸いフェルトやメッシュ、虹色に光るフィラメント、チュール、ナイロン、ラメ生地などいくつもの異素材を剥ぎ合わせた黒のドレス。生地をパッチワークし、重ねることで形を作ってゆく。
素材をニットやフェイクファー、ダウンに変えても、またピースの形を四角や細長いテープ状やチューブ状に変えても、複数の生地をパッチワークする手法は変わらず。クロコダイルやタータンチェックも混じり、まるでアトリエに余ったハギレを集めて作った継ぎ接ぎの服のようだ。
テンションも質感も異なる複数の生地をパッチワークしてみせるドレスは工程の数だけ手間がかかる。そして、肩周りやドレスの裾の柔らかな曲線は無造作なようで、実は女性がきれいに見えるように配慮されている。チープを気取ったラグジュアリーな服だ。
【ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン 2014-15年秋冬コレクション 全ルック】