「メゾン マルタン マルジェラ(MAISON MARTIN MARGIELA)」は、"世代間の対話"をキーワードに、過去・現在・未来の異なる時代感のミックスを試みた。ベースは、英国の伝統的な素材を使ったおじいちゃん、おばあちゃん世代のワードローブ。ヘリンボーンやプリンス・オブ・ウェールズのジャケットやトラウザーを再構築したかのようなデザインのドレスやジャンパースカートを始め、四角い「ハリスツイード」や「ロバート・ノーブル」のラベルのついた生地をのせたアイテムや、そのパターンをプリントしたシルクを使ったドレスやトラウザーなど、バリエーション豊富だ。"匿名性"を大切にしているブランドがあえて生地メーカーのラベルを見せているところには、マルジェラらしいウィットを感じる。また、チェスターコートのライナーのようなストライプの生地は、ノースリーブドレスやトップスに変化。よりストレートな表現として、前身頃だけがウールやカシミヤのコートで、そのほかはライナーというユニークなアイテムもある。
ダブルブレストのコートやジャケット、懐かしさを感じるニットの肩はどれも盛り上がり、袖のカーブしたラインと合わさって構築的でフェミニンなシルエットを描く。しかし、袖は横から見ると平面的でマスキュリンな印象。今季は、コーディネートだけではなく、一つのアイテムの中で相反する要素のコントラストを表現しているようだ。
足元を飾るのは、新作の"足袋"スニーカー。メタリックなカラーとラバーやネオプレンのパーツをミックスし、スポーティで未来的なフィーリングをスタイリングに加えている。