ジョー・ケイスリー・ヘイフォードとチャーリーという親子デザイナーによる「ケイスリー ヘイフォード(CASELY HAYFORD)」が、ブランド初のランウェイショーを開催した。かつては自身の名前でパリコレに出ていた父と、スタイルアイコンでもある息子によるブランドは、デビュー当時から続ける「フォーマルをストリートライクに遊ぶ」アイデアで、早くもロンドンメンズの上位グループに加わった印象だ。
どこよりも早くツイードでジョギングパンツを作り、ジャケットとスタイリングするなどしてフォーマルを遊んできた「ケイスリー ヘイフォード」。今シーズンの遊びは、トロンプルイユ(だまし絵)で描く、レイヤードスタイルだ。例えばヒザ丈のチェスターコートは、その上にジャケットを重ねているかのようなデザインで、腰周りで生地を切り替えることで一着なのに重ね着しているよう。ウールのカラージャケットはその上にラペル付きのナイロンを貼り付けることで、これまたジャケット・オン・ジャケットというスタイルを描く一着にまとめている。シャツは、腰周りや裾で色を切り返すことで、2枚を重ねているようなチュニック丈に。そのアイデアは実に豊富で、緻密かつ丁寧に仕上げてリアリティをアップ。色違いやスタイリング違いをランウェイで見せがちな他のロンドンメンズに比べ、一歩も二歩も先を行っている。
中盤以降は、ローゲージのニットやネオプリン、シャーリングで作るボリュームシルエットも加わり、トレンドを察知する嗅覚などもいかんなく発揮した。デビュー当時から日本を生産拠点の一つもとしているだけあって、我々にとってリアルな"つら構え"に仕上がっている。