デザイナーに就任した当時は27歳だった若手、高橋悠介による2回目の「イッセイ ミヤケ メン(ISSEY MIYAKE MEN)」のコレクションが開かれた。今回は、火山から氷河、オーロラ、そして虹。自然界の様々な事象と、それにまつわる色に着目し、それを「イッセイ ミヤケ」ならではの組成の難しい生地で表現。しかし今シーズンも、その努力を着る者に押しつけないスポーティでコンテンポラリーなシルエットやスタイルにまとめた。
序盤は、デビューコレクションでも用いた染色で自然の荒々しさを表現したパートだ。まだ内部には熱がたぎっている、ヒビ割れたマグマのようなモチーフは、バティック染めの生地に刷毛で赤と青、黄色を染めたもの。毛羽立つストライプのビッグポンチョは、波が打ちつけ大地を浸食した結果生まれたフィヨルドのイメージ。二重編みを部分的にカットし、さらに縮絨させることで荒々しい風合いとなった。これに続くのは、オーロラをイメージしたパート。プリズムフィルムとフランネルをキルティング加工したリバーシブル素材は、製品洗いをかけるとフランネルが縮み、今シーズンのトレンドとなったカーヴィーなシルエットを生む。すると、プリズムフィルムは見る角度によって様々な光を放ち、オーロラのように七色に輝く。このパートこそ、高橋の真骨頂で、こうした手間暇かかった素材をモッズ風のコートやスナップボタンのハイカラーブルゾンなど、気負わないアイテムとして提案した。
フィナーレは、転写プリントを駆使した、サイケにも見えるTシャツとショーツ、レギンスのパート。七色は当然虹のイメージだ。