会場は、薄暗く無機質なコンクリートの空間。円形に並べられた座席に沿うようにランウェイが敷かれた。ファーストルックは、MA-1にフリルネックのトップス、パールが一粒輝くネックレス、そしてタイダイのボトムス。ドリス・ヴァン・ノッテンは今季、中世ヨーロッパに思いを馳せたようだ。テクノやパンク、スケート、そしてヒッピーな80年代のアイテムを、ルネサンスの装いにミックスして時代も性差もクロスした新たなボーダーレスを模索した。
時代が交差するコレクションは、コーディネートの妙で表現された。フリルネックのシャツはキーアイテムの一つ。ところどころファスナーやテープを配したベースボールジャケットは、前丈を短くカットし、後ろの着丈を長くスワロウテイルのシルエットにしてイブニングジャケットにアレンジ。一方、クラシックなオフィサーコートにはバスケットボールショーツとハイテクスニーカーを合わせる。フリンジやフリルは時折、切りっぱなしでほつれた糸で表現されていた。
キーカラーはピンク、ブルー、イエロー、グリーン。何度も洗いをかけ、ヴィンテージのように色あせたニュアンスを強調した。タイダイやマーブルなど強い柄もあるが、同色でまとめたことで統一感を持たせている。フィナーレには、各カラーコーディネートのモデルたちがそれぞれまとまってカラーギャングさながらに登場し、颯爽とランウェイを駆け抜けた。