ショー3日目のラストを飾ったのは「アレキサンダー ワン(ALEXANDER WANG)」。今回のショー会場をマンハッタンから橋を渡ったブルックリンに移したことで、会場に向かう車の列で大渋滞。20時30分からのショーは、やはり30分を超える遅延でスタートした。会場となったイベントスペースは、ソーラーパネルを使用したエコ・フレンドリーなビル。ショーのコンセプトにぴったりだとしてワンが会場に選んだ理由が、のちに明らかになる。
ショーは、ハンティングや山登り、そのほかのアウトドアスポーツからインスパイアされたスポーティなテイストが満載だ。大きなVの字に開いたミニ丈のボックスワンピースには、アウトドアウエアのような機能的なポケットがいくつも施されている。脚の前の部分のみを覆い、後ろのふくらはぎの部分を露出したレサーブーツは、ひざ当てを付けたようなフォルムで、まるでプロテクションのよう。スエード素材のダウンや、ウィンドブレーカー、プルオーバーなどは、肩まわりが大きくがっちりとしたフォルム。アウターのライニングをヴィヴィッドなネオンカラーのピンク、イエロー、ブルーで彩り、ウールのジャケットやパンツと合わせる。会場の外の凍えるような気温とあいまって、それらはまるで"都会で生きるサバイバー"のようだ。
終盤にさしかかると黒いレザーのワンピースやコートを着たモデルたちが中央の円形のステージに立ち、ステージに設置された柱から発する熱を浴びる。すると熱に反応し、ブルーやイエロー、パープルなどの色が、ダイス柄やペイズリー柄となって浮かびあがる。色が変化する服だ。さらに円形のステージが回転し、放射線状に座っている観客に向かって360度回転しながら服を披露する演出は、ワンらしいサプライズの要素。真っ黒の面に触れると文字が浮かび上がってくるインビテーションは、この服のコンセプトとリンクしていたことがわかる。常に素材の進化にこだわるワンに、またしても驚かされたショーだった。