ファッション

ファストリとセブン&アイが業務提携 オムニ、PBなど新時代の小売業を研究・開発

 「ユニクロ」「GU」「セオリー」などを傘下に収めるファーストリテイリングと、「セブン-イレブン」「イトーヨーカドー」「そごう」「西武」「フランフラン」「バーニーズ ニューヨーク」などを傘下に持つセブン&アイ ホールディングスが業務提携することを決めた。柳井正ファーストリテイリング会長兼社長と、鈴木敏文セブン&アイHD会長最高経営責任者(CEO)という日本の2大小売業トップが、デジタル時代にふさわしい流通革命を仕掛けることになる。

 セブン&アイHDの広報は、「年内までに業務提携をまとめようと話し合いを進めているところ。さまざまな可能性を探りたい」とコメント。資本提携はせず、包括的な業務提携を行うことになる。ファーストリテイリング広報は、「両社が小売業の将来を見据えて、さまざな分野で話し合いを始めたところ。新衣料品PB(プライベートブランド)の立ち上げなどは現段階では憶測の域を出ないが、可能性を検討していきたい。年内には新たな取り組みについてスタートさせたい」と説明。セブン&アイHDと組むメリットについては、「オムニチャネル時代を控え、インフラ整備を含めて唯一無二の体制を築いている。コンビニ業界の雄と、日本の小売業のあり方を研究していくことで、未来が開けてくるし、日本をリードしていきたい。お互いウィンウィンの関係になり、われわれとしては、目標に掲げる"グローバルナンバーワン"に近付いていきたい」と話す。

 ファーストリテイリングはこれまでも、素材開発から製造・販売までの スピード・効率・付加価値の飛躍的向上に向けて、東レと戦略的パートナーシップを締結。さらに昨年10月には、大和ハウス工業と共同で物流会社を設立し、東京・有明に物流倉庫を設けると発表。今年6月には、従来の顧客体験を超えたデジタル時代の革新的な消費者サービスの開発に向けて協業するため、アクセンチュアと提携するなど、デジタル×リアルの融合に力を入れている。

 今回の提携により、真っ先に実現されそうなのは、全国に約1万8000店、海外に3万店以上の店舗網を持つ「セブン-イレブン」店頭での「ユニクロ」商品の受け取りや販売だ。双方の顧客接点の拡大や利便性の向上につながる。また、セブン&アイHDのグループ店舗で販売するSPA型新ブランドの開発も可能性は大きい。これまでもイトーヨーカ堂では、故藤巻幸夫氏を取締役に迎えた衣料品改革や、元イッセイミヤケ社長でファーストリテイリングで2002年から「ユニクロデザイン研究室」の室長を務めていた多田裕氏をアドバイザーに迎えてSPA型ブランドの立ち上げ、クロスプラスとの「ギャローリア」「L&B」の共同開発なども行ってきた。そごう・西武もPBの「リミテッドエディション」シリーズを強化しているところ。マーケティングや素材調達、企画、製造、販売、ブランディング、人材などを含めて、ノウハウのあるファーストリテイリングと本格的なSPA型ブランドを立ち上げることで、競争優位性の高い商材や売り場展開などを模索できるだろう。

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