日本最大級の都市型野外フェスティバル「サマーソニック2014(SUMMER SONIC 2014)」が8月16日、東京と大阪同時開催でスタートした。東京会場は幕張メッセとQVCマリンフィールドで、国内外あわせて76組のアーティストが出演した。午後中頃あたりから雲が厚くなり、夕方には雨もパラつく天候ではあったが、熱さは和らぎ、来場者には比較的過ごしやすいフェス日和だったといえる。
本日のヘッドライナーは、英ロックバンドのアークティック・モンキーズ(ARCTIC MONKEYS)。2007年に史上最年少でヘッドライナーの大役を果たして以来のサマソニ登場だ。英音楽賞の権威「ブリット・アワード」で2冠を達成した最新アルバム「AM」のモードで上陸したバンドは、最初の一音目から会場を震撼させた。「AM」はグルーヴの重心を下げ、ダンスのエッセンスを咀嚼したロックアルバムだったが、そのサウンドを携えた今の彼らの演奏は、スタジアムを十二分に掌握する迫力を備えていた。そしてヴォーカル&ギター、アレックス・ターナーの存在感だ。彼は今日もリーゼントでキメたスーツルックで登場。会場を見渡す視線は鋭く、パフォーマンスには余裕すら感じる。07年当時にまだ内包していた少年性は見る影もなく、ロックスター然とした立ち居振る舞いに変わっている。新世代のリズム解釈でバンドサウンドの在り方を更新したデビュー間もない彼らが唯一持ち合わせていなかったヘヴィネスと堂々っぷり。それを見せつけての圧巻の凱旋ライブだった。
スカイ・フェレイラ(SKY FERREIRA)は、胸部に目が光り、線の太い銀刺繍が全面に広がる黒スカジャンを羽織って登場。ラウンドショルダーとビッグサイズで生まれるコクーンシルエットが美しい。ブランド広告やファッション誌カバーのモデルも務めるファッションセンスを醸し出した。バッグバンドを従え、メロディの立ったシンセ・ポップを淡々と歌い継いでいく。その歌唱スタイルは仁王立ちでどこかアンニュイ。態度もツンとして素っ気ないものだが、その分歌に対するストイックさが伝わってくる。1980年代スタジアムロックのポップネスを継承するバンドTHE 1975は、登場したQVCマリンフィールドの大会場が良く似合う。ギターの美しいディレイ音がそよ風のようにスタジアムに響き渡っていく様は爽快だ。フォトジェニックな佇まいを持つヴォーカルのマット・ヒーリーは、ホワイトデニムに黒ローファーを素足で合わせ、序盤から上半身裸で熱唱した。ラウド系ラインアップが集うマウンテン・ステージいっぱいに観客を集めたのは3人組アイドルBABYMETAL。アイドル・ミーツ・ヘヴィメタルという新ジャンルを確立した実力は伊達じゃない。激しいブラストビートやギターの速弾きフレーズにさらにアイドルのハチャメチャな元気を注入して観客を煽り続け、多くのヘドバンを生んだ。今年デビュー20周年を迎え、邦楽アクト中心のレインボー・ステージに登場したTOKIOは、ヒット曲「宙船」でのっけから会場を熱くした。ラストはデビュー曲の「LOVE YOU ONLY」で、サマソニこの日いちばんの大シンガロングを巻き起こした。
「サマーソニック」来場者のファッションは、グッズアイテムの着用率が高い。フェスのオフィシャルグッズ、または出演アーティストのTシャツは鉄板アイテムだ。過去のサマソニTシャツや、出演しないアーティストのTシャツをチョイスする人も見かける。グッズTシャツをあわせるボトムスは、柄物が多く、特に男性がショートパンツで取り入れている。柄はトレンドのボタニカル柄の選択がダントツだ。ビーチに近い会場の立地もあり、リゾート気分を漂わせている。そんなフェスのムードもあいまってか、女性ではトレンドのクロップドトップスが抵抗なく受け入れられている。フェス空間においてヘルシーなお腹見せはOKのようだ。そのほか暑さ対策として、首元にタオルを巻いている人が男女ともに多かった。日差しを避ける帽子は、サマソニでは、ストローハットとベースボールキャップが人気だ。
17日も同会場で「サマーソニック 2014」東京2日目が開催される。ヘッドライナーはイギリスが誇るロックの殿堂バンド、クイーン(QUEEN)。ヴォーカルに米オーディション番組「アメリカン・アイドル」が生んだポップスター、アダム・ランバートを迎えた布陣での登場だ。他にもアヴリル・ラヴィーン(AVRIL LAVIGNE)など、全67組が出演する。