江戸時代に大名屋敷が立ち並んだ大手町と、与力や同心の組屋敷が立ち並んだ八丁堀という、東京駅近くの好立地にコンセプトが全く異なる2つの宿泊施設が7月に相次いでオープンする。
星野リゾートは7月20日、東京・大手町に温泉付きの日本旅館「星のや東京」をオープンする。同社初の都市型ホテルで、「団らんと日本の佳物(ヨイモノ)」をテーマに掲げ、全館畳敷きとすることでリラックスして旅館の風情を楽しむとともに、各フロアの中央に配する"茶の間"に集い、ごろごろしたり、仕事をしたり、高いホスピタリティーによるフレッシュなフードサービスを受けたりできるような造りとしているのがポイントだ。
場所はかつて江戸城があり、現在は皇居となっている大手門の付近で、大名屋敷が立ち並んでいた一角だ。建築コンセプトは 「塔の日本旅館」で、庭と平屋の木造建てという伝統的な横展開とは一線を画し、地下2階、地上17 階の縦空間に旅館要素を展開するのが特徴だ。外装は遠目からはワントーンに見えるが、近寄ると江戸小紋のパターンが見えてくるという仕掛けを施している。
部屋はワンフロア6室で、各階エレベーターを降りてすぐのエリアに"茶の間"を配す。大きなテーブルの周りや、各所に置いた"ごろごろソファー"など、自由な場所で飲み物や簡単な食べ物をつまんだり、仕事をしたりすることができるようにしている。
客室は3〜16階の14フロアで、計84室を展開。1泊1室7万8000円〜(税・サ込み)。各部屋には畳素材のソファーや、竹でしつらえたクローゼットなど、自然素材を多く用いる。50平方メートルタイプの"百合″と、80平方メートルタイプの"菊″など、部屋には花の名前を施す。地下にダイニングを用意。最上階の17階には露天風呂を配し、大浴場、SPAなども備える。訪日外国人などもターゲットとしており、外出までできるセンスの良いオリジナルの浴衣の開発も予定している。
一方、7月22日には、東京・八丁堀駅に「ふくろう(OWL)のように賢く 東京を夜まで遊びつくす」がコンセプトの新たなホステル「ワイズ アウル ホステルズ トーキョー(WISE OWL HOSTELS TOKYO)」がオープンする。「八丁堀のだんな」と呼ばれた銭形平次の舞台にもなった町に位置。建物の所有者は安田不動産で、シェアハウスやホテルのリノベーションなどを手掛けているシェアカンパニーが企画・運営をする。
今のモダンな東京にフォーカスし、"究極に心地よいサウンドとアート/DJ/ライブを楽しめるBar 「HOWL」""三軒茶屋 「OBSCURA COFFEE ROASTERS」 によるスペシャルティコーヒースタンド""ダシをテーマに全国の日本酒が楽しめる 「地酒・おでん・肴 フクロウ」 "を併設する。オープンに先駆け、7月9日にはメディアアーティストの真鍋大度らによる音楽イベントも開催する。
開業に先駆けてメッセージとして発信したのは、「君たちに必要なのは凡庸な長時間の睡眠ではない。へとへとになるような充実した経験と、くたくたになったあとの短時間の良質な眠りである。眠っている場合ではない。東京を体感せよ。昼夜問わず感度を高めよ。それが、旅のあるべき姿だろ?」と東京を遊びつくすことをあおっている。
一方で、「短時間で良質な睡眠を約束するホステル」とも銘打っており、ドミトリーは通常の相部屋様式とは異なり、各ベッドがウッドで囲まれた個室的な造りで、プライバシーも保たれるという。シモンズ製マットレス、鍵付き収納、コンセント口、 USBジャック、読書灯が標準装備され、「短くとも快適な眠りにこだわる、ショートスリーパーのためのドミトリーを実現しました」と自信を見せる。ファミリーや友人、カップル向けに、定員が2人、または4人の個室も用意する。価格は2〜5階の男女混合14人ドミトリーが3600円〜、2人用個室が7600円〜(税込み)。
最上階の6階にある80平方メートルを超える2LDKの家具付きサービスアパートメントでは、専用キッチンやバーカウンターに加え、バスルームやキングサイズベッドからスクリーンの映画を真空管アンプからの音とともに楽しむこともできる造りとしている。月額賃料は未定だ。