ファッション

再注目される「イケア」 シニアデザイナーが”売れるデザインの秘密”を解説

 昨年来の"ファスト雑貨ブーム"もあり、2000年代中頃の"北欧ブーム"の立役者を担った「イケア(IKEA)」が再び注目を集めている。4月10日にオープンした都内初の「IKEA 立川」は、プロモーションの一環で多摩モノレールをジャックする「パーティ トレイン(PARTY TRAIN)」を行ない、きゃりーぱみゅぱみゅが「素晴らしい」とツイッターでコメントするなど、大きな反響を集めた。「イケア」は、世界中に300を超える店舗を抱え、実店舗は毎日200万人が来店し、ウェブサイトは1日400万人がアクセスしている。

 そこで、改めて「なぜ、『イケア』はコストを抑えつつ、世界中から支持されるデザインを生み出せるのか?」を「IKEA 立川」オープンのために来日したアンナ・エーヴェルルンド=イケア シニアデザイナーに聞いた。

 現在、イケアのスウェーデン本社のデザイナーは、インハウスの13人を中心に「常に3年先のコレクションをデザイン」をしている。アンナは、その一人として上海とスモーランド地方を拠点にしながら、さまざまな国や地域を飛び回り、デザインチームのプレゼンテーションをジャッジしている。草間彌生や「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」といった日本のクリエイティブにも関心を持つ彼女は、1980年から「イケア」の家具、テキスタイル、ラグ、照明、おもちゃ、キッチン用品などをデザインし、ハート型のクッションに手を付けた「ファムニーグ イェルタ(FAMNIG HJARTA)」などのヒット商品を生み出した(ギャラリー画像参照)。

 「イケア」の哲学は、「デザイン、機能、品質、持続性、低価格のバランス。そして、環境への配慮や、お客さまに楽しんでもらえるもの」と話すように、デモクラティック(大衆的)・デザインだ。例えば、ミリ単位のサイズ調整で、配送しやすい設計や重量まで計算している。特に、「子どもが手に触れるおもちゃなどの商品は、耐久性や安全性が重要になってくる。そういったアイデアは、法律が最も厳しい国に基準を合わせ取り組んでいる」。

 デザイナーたちは、多彩な趣味からのインスピレーションだけでなく、時には一般の家庭を訪問し、ヒアリングした内容をデザインに反映している。そういった取り組みを通して、「価格を抑え、デザイン性の高い商品を多くのお客さまに届けたい」と話す。それは、現在進行しているインドの出店にも繋がっている。

 彼女はインタビューの最後に、「子どものように、失敗することを恐れてはいけない」と語った。童心の気持ちを忘れないことがユニークな商品を生み出せる秘訣になっている。これも「創業者のイングバル・カンプラードが命令をしないで、それぞれのデザイナーを尊重して、回答を委ねているから」と説明する。

公式サイト:http://www.ikea.com/jp/ja/

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