ファッション

オスカー受賞のスパイク・ジョーンズ最新作「her/世界でひとつの彼女」のトークショーが開催

 「マルコヴィッチの穴」、「かいじゅうたちのいるところ」などを手掛けた映画監督のスパイク・ジョーンズ(Spike Jones)が5月28日に銀座Apple Store(アップルストア)で開催された「ミート ザ フィルムメーカー(Meet the Filmmaker)」に登場、最新作『her/世界でひとつの彼女』のトークイベントを行なった。「ミート ザ フィルムメーカー」は、これまでにも山田洋次、是枝裕和、石井裕也ら大御所から新進気鋭の名だたる監督が出演し、生の声を聴くことができるイベントとして知られている。MCを務めたのはジョーンズとも親交の深いエディター兼プロデューサーの野村訓市。約4年ぶりの来日となるジョーンズは衣装デザインを担当したケイシー・ストーム(Casy Storm)とともに登場した。

 作品のテーマについて「人とテクノロジーの関係を描きたかったわけじゃなく、複雑な現代社会において人と人との関係を描きたかった。本当の意味で心を通わせることはとても難しく、コミュニケーションの方法も時代とともに変わり、情報量も格段に多くなった。愛する人にどうしたら自分をさらけ出せるか、つながりあえるか。人と通じ合うことの難しさについて描きたかった」と語り、「AI(人工知能)のサマンサ(スカーレット・ヨハンソン)はとても複雑なキャラクターだけど、それを声だけで表現しなければならない。主人公のセオドア(ホアキン・フェニックス)との関係性を描くのは自分でもチャレンジだった」と声だけで成立させるラブストーリーのむずかしさにも触れ、セックスシンボルとしても知られるスカーレット・ヨハンソンを起用した理由については「スカーレットは自分の魅力が何かを知っていて、肉体的な魅力を除いても、自分をきっちりともっている人。だからこそ物語の中で複雑に成長していくマンサを表現できると思った」と説明した。

 また、映画に登場するキャラクターのハイウエストなパンツなど懐かしさを感じさせる衣装について聞かれた、ストームは、「近未来的で突飛したものではなく、過去(=現在)からインスパイアされた、あらゆる形状や素材の衣装を制作し試した。セオドアには、トム・クルーズのSF映画みたいなノーカラーのレザージャケットを着せたくなかったんだ(笑)」と語った。

 エンディングではジョーンズが滞在中に訪れたカラオケでのエピソードを披露。ストームがエミネム(EMINEM)の「Yourself」を完ぺきなラップで歌い上げ、会場は拍手と歓声に包まれた。
映画「her/世界でひとつの彼女」は6月28日から新宿ピカデリーほか全国で公開。

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