ルイ・ヴィトン表参道ビル内のアートスペース、エスパス ルイ・ヴィトン東京は、9回目の展覧会「消滅の痕跡(Traces of Disappearance)」を開催する。ミュリエル・ラディック、エヴァ・クラウスをキュレーターに迎え、テーマに沿った4アーティストの作品を展示。今にも消えそうなもの、壊れそうなものに焦点をあて、"世界の儚さ"をテーマにキュレーションしている。会期は、1月18日?4月13日まで。
「消滅の痕跡」には、畠山直哉、カスパー・コーヴィッツ、アンヌ&パトリック・ポワリエ、ユェン・グァンミンが参画。「自然の儚さを詩的に表現することができるアーティスト」という観点から彼らを起用した。フロアの中心には、アンヌ&パトリックによる巨大なオブジェ「世界の魂」があり、圧倒的な存在感を放っている。富士山からインスパイアされたという金属の構造物を建て、彼らの作品にも多く用いられてきた魂(生き物、植物)を生きた白い鳩で表現。作品を囲む床には、「忘却、美、寂しさ、郷愁、夢、混沌、秩序」など、"記憶"から想起される言葉が描かれている。
また、正面の大きな窓ガラスには、ステンドグラスと見紛うほど色鮮やかなグミのオブジェが飾られている。カスパー・コーヴィッツによる作品「その大きさたるや」だ。ベア型グミを使用したこの作品は、彼自身が創り上げたユートピアを表したもので、「あの世や、来世に芸術は存在するのか?」という哲学的な観点から取り組んだ。保存料などは使用していないため、太陽の光など温度の変化で自然と解けて混ざりあう様を楽しむことができる。使ったグミは合計12万個で、重さ380kg、120万カロリーに値するとのこと。そのほか、エントランスや「ルイ・ヴィトン表参道」1階の店舗正面には、ユェン・グァンミンによる作品「消滅する風景 - 葉である理由」を展示。壁面には、南フランスの広大な山を写した畠山直哉による作品「ヴァントゥ山」を飾っている。