フォトグラファーの新田桂一とヘア&メイクアップアーティストの冨沢ノボルの写真展「DOUBLE EXPOSURE」が4月21日、新丸ビルの「丸の内ハウス ライブラリー」でスタートした。会期は5月11日まで。新田が撮り下ろした、ナチュラルメイクの女性の写真の上に、冨沢がメイクを施すという"前代未聞"の表現方法によって、新たなアート作品に挑戦した2人。写真展初日、新田と冨沢の2人に、今回の写真展について聞いた。
「今回の写真展を開催するきっかけは?」
新田:最近、ノボルさんと毎日のように仕事をしていて。丸の内ハウスが7周年を迎えるということで写真展のお話をいただいたときに、ちょうどノボルさんと一緒に仕事をしていた時で、「是非このメンバーでやらない?」と。
冨沢:2人が初めて一緒に仕事をしたのって、実は「WWDビューティ」のシューティングだったんだよね。
新田:そうです。それまでノボルさんはとても気になる存在だったけど、機会がなかった。でも初めての打ち合わせの時に、やけにテンション高い人が登場してきたと思ったらノボルさんで(笑)。あの時は面喰いました。
冨沢:前々から、「いつか2人展をやりたいね」と言っていたけど、まさかこんな形で実現するとはね。ほんと感無量です。
「今回のテーマである『DOUBLE EXPOSURE』にはどんな意味が込められているんですか?」
冨沢:訳すと「二重露光」。2人の思いや熱が重なったときに起こるイリュージョンをイメージしました。
新田:ファッションの撮影のときもそうですけど、みんながそれぞれ自分をさらけ出して、一つの作品を作り上げていくのと同じですよね。
冨沢:全体だけでなく、一つひとつの作品にもテーマがあって、「レインフォールド」「丸の内ハウス7周年おめでとう」「ネバーエンディングストーリー」とか。4階の「ザ・ダファー・オブ・セント ジョージ」(メンズ)のウインドーにも作品を展示しているからそちらも見てほしい。
「それにしても写真の上にメイクなんて、どうしてこういう表現方法を選んだんですか?」
冨沢:考え付かないよね、普通。いつも一緒に仕事しているアートディレクターの安倍(悟)さんが「いつもと逆のことやってみたら?」ってヒントをくれて。一度「ザ デイズ トウキョウ」の広告でこの手法を用いたのがきっかけになっています。
新田:とにかく面白いことをやってみよう、と。普段、僕たちフォトグラファーはフィニッシュを決める人。でも、今回フィニッシュは僕じゃなくて、ノボルさん。完成形もわからないし、そもそもノボルさんは予想がつかない人(笑)。本当は想像しながら、モデルの表情やポーズなども決めていきたいけど、それができないからね。だから今回はあえて話し合わずに撮影して、完成した写真を額縁に入れてノボルさんに渡したんですよ。
冨沢:僕にとって、今回の作品はほとんど遊び感覚でした。「a little game」って感じでね。もちろん、メイクアップ製品も使ったし、塗料とかセロファンとか、色んな材料を使った。こうやって、たくさんのクリスタルの涙とか、ほら、これなんて頭に鳥が乗っちゃってるでしょう?こんなこと、生身のモデルさんにはなかなかできない表現ですから。
新田:できあがった作品を初めて見たときは「あ然!」ですよ(笑)。こういう風になるとは予想もつかなかったですからね。
冨沢:普段のメイクだって、もっと簡単な遊び感覚で楽しんだっていいんじゃない?っていう裏メッセージも潜ませたつもり。また2人で面白いことをやりたいですね。
■「KEIICHI NITTA + NOBORU TOMIZAWA『DOUBLE EXPOSURE』A COLLABORATIVE EXHIBITION」
会期:2014年4月21日〜5月11日
(5月4日にはワークショップを開催。新田が撮影した写真に、冨沢が用意したアイテムで自由に"メイク"できる)
時間:11:00〜翌4:00(日曜・祝日・連休最終日〜23:00)
場所:丸の内ハウス ライブラリー(千代田区丸の内1-5-1 新丸ビル7F)