デザイナーの佐藤オオキが代表を務めるデザインオフィス「ネンド(nendo)」は、集客環境作り事業を行う乃村工藝社と2月10日に業務提携し、新しく空間デザインオフィス「オンド(onndo)」を結成した。ネンドの持つデザイン力や企画構成力と、乃村工藝社の持つ空間デザインや設計力が融合することで、より魅力的な空間作りと両社のさらなる発展を目指す。
ネンドは建築、インテリア、プロダクト、グラフィック、コンサルティングなど幅広い分野を扱う中で得た豊富な経験から、常に新しいアイデアを提供し続けている。120年以上の歴史がある乃村工藝社は集客環境作りの調査、コンサルティング、企画、デザインなどの業務を行うディスプレイ事業を中心に展開している。これまでにも、両社は共同でプロジェクトを行ってきたが、互いが得意とする技術やノウハウを融合し、より多角的な側面からもの作りを行いたいと業務提携が実現。オフィス名のオンドは体温を意味し、人間の感情や体温を常に意識しながら、温度感のあるもの作りを目指す。メンバーは佐藤と青野恵太オンドチーフデザイナー(乃村工藝社所属)の他、13人のデザイナーが所属する。
3月31日に行われたオンド結成記念イベントでは、佐藤と青野チーフデザイナーが登壇。オンドの結成について佐藤・代表は「この先、デザインがどう広がっていくのかを考えたとき、インテリアという小空間にはまだまだ可能性があると感じた。それをいまのネンドで実現するとなったとき、乃村工藝社のノウハウや知見を活用させてもらうことで、インテリアの可能性をより幅広く模索できると考えた。今後、日本のもの作りが世界で戦うためにも、組織のあり方やもの作りの考え方を見直さなければいけないと思い、新しい組織をゼロから作る流れとなった」と話した。青野チーフデザイナーは「例えば、土地の購入から参加するなど、これまで経験できなかったデザインの領域をオンドでは体験できる。空間だけではない、その先のデザインのヒントや可能性をネンドと共に探っていきたい」と語った。今秋から来春にかけて新プロジェクトが続々と発表予定で、佐藤は「課題を考えるところからスタートするため、あらゆる視点からデザインできるのがオンドならではのもの作り。すでに手応えを感じており、デザイナーとしては形という結果で証明していきたい」と期待を込めた。