開発途上国でのものづくりを通して持続可能な開発の達成を支援するプロジェクト「エシカル・ファッション イニシアティブ」が、日本での活動を本格化させる。来日したシモーネ・チプリアーニ=ITC「エシカル・ファッション イニシアティブ」チーフ・テクニカル・アドバイザーに、同プロジェクトの取り組みについて聞いた。
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同プロジェクトは、世界貿易機関と国際連盟の合同機関である国際貿易センター(ITC)により2008年に発足。「Not Charity, Just Work(チャリティではなく、仕事として)」をスローガンに掲げ、金銭的な支援に依存させずに、生産を行なう職人の経済的な自立を目指している。また、職人の生活環境の改善やライフスタイルの尊重、技術の訓練だけではなく、将来的な職人の独立や起業を推奨しており、新たな開発途上国援助の形としても注目だ。
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「まずは、『エシカル・ファッション イニシアティブ』がブランド側から受注し、共同で商品開発に取りかかる。アイテムの生産は、主にアフリカやハイチの現地コミュニティに住む女性職人たちが、現地で行なっているが、ナイロビ(ケニア)、アクラ(ガーナ)、ポルトオープランス(ハイチ)の3都市に"ハブ"と呼ばれる拠点を設け、生産状況や品質を管理している」とチプリアーニ。バッグやジュエリーを中心とするアイテムは、ビーズ編みやかぎ針編みからパッチワークや刺繍まで職人の持つさまざまなスキルを生かし、オーガニック素材やリサイクル素材、廃材などで制作されているという。
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これまで、「ヴィヴィアン・ウエストウッド」や「ステラ マッカートニー」、「チャンルー」などとのパートナーシップで商品を制作してきたが、「今回の来日は、新たに日本のブランドや小売店とビジネスパートナーシップを結ぶため。出向いた数社では、有意義な話し合いができた」。今後については「ハブの数を増やす予定はないが、パートナーシップを結ぶ企業やブランドの数を増やし、より多くの職人に安定した仕事を提供していきたい」と語った。
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国内ブランドとしては、ユナイテッドアローズが初めて「エシカル・ファッション イニシアティブ」とパートナーシップを結び、キャンバストートバッグを制作。4月下旬にユナイテッドアローズ 原宿本店 ウィメンズ館など限定店舗での発売を予定している。