アーティスト、弦楽制作家、デザイナーの顔を持つ調香師
ジュリアン・ベデル創業者 兼 調香師(以下ジュリアン):私の祖父母は権威あるアートコレクターで、父のジャック・ベデルと兄のニコラスはともに建築家であり芸術家です。こうした環境から、幼い頃から音楽、建築、彫刻、絵画といった芸術に囲まれて育ち、私自身も音楽作家や弦楽器製作者として活動していました。そんな中、新たなクリエーションの場として「香水」というものがあることに気付きました。私にとって香水の創作は化学と生物学を掛け合わせた芸術活動なのです。顔料や音符を使う代わりに、抽出した分子で“作曲”を行う。自身のメッセージを伝えるための新たな手段として、フレグランスブランドを立ち上げました。
WWD:ブランド名の由来は?
ジュリアン:パタゴニアの原住民であったフエギア・バスケットに敬意を表して名付けました。彼女はのちに「進化論」を唱えることとなる若きチャールズ・ダーウィンの2度の航海に同行するのですが、そこでダーウィンはパタゴニアの大自然の中で生きる動植物や化石を観察しながら、「種の起源」のベースとなる理念を構築していきました。その道のりに対する敬意と、植民地化がネガティブな要素だけでなくポジティブな側面も持ち合わせているというメッセージを込め、入植者であるダーウィンと原住民のフエギアの出会いのエピソードをブランド名に託しました。