イスラエルを拠点にするアパレルメーカーのデルタ・ガリル・インダストリーズ(DELTA GALIL INDUSTRIES 以下、デルタ)が「セブン フォー オール マン カインド(SEVEN FOR ALL MANKIND 以下、セブン)」「スプレンディッド(SPLENDID)」「エラ モス(ELLA MOSS)」をVFコーポレーション(VF CORPORATION 以下、 VF)から1億2000万ドル(約122億4000万円)で買収する。 取引は2016年の第3四半期に完了する予定だ。テルアビブ証券取引所に上場しているデルタは今回の買収で年間3億ドル(306億円)以上が売り上げに加算されると見込む。
アイザック・ダバ(Isaac Dabah)=デルタ最高経営責任者(CEO)は「(今回買収する3つのブランドは)50カ国以上で事業を行っている、グローバルなブランドで、利益率も高い。「スプレンディッド」や「セブン」はそれぞれのカテゴリーのマーケットリーダー。また、3ブランドともディスカウンターなどの販路を持たず、"プレミアム"なイメージを保っている他、セレブにもまだ愛用されていることに引かれた」とコメント。3ブランドは全世界で105の独立店舗を構え、その内約80店舗が通常店舗、20店舗以上がアウトレット店だ。
「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」「リー(LEE)」「イーストパック(EASTPAK)」などを傘下に持つVFは近年、コンテンポラリーブランド事業が苦戦していた。特に「セブン」と「スプレンディッド」の売り上げはユーロ高や米国における観光客の低迷が影響し、減少傾向にあったという。しかし、ダバCEOは「全体的にビジネスは安定してきており、17年以降は成長することを期待している」と語った。また、「スプレンディッド」に関しては、今後スリープウエアやアンダーウエア、ヨガなどの新カテゴリーに参入することも視野に入れている。JJKリサーチ(JJK RESEARCH)のスペシャルティ—・リテール・アナリストのジャネット・クロッペンバーグ(Janet Kloppenburg)は今回の買収について「両社にとってとても有益だ。VFは近年アウトドアブランドに力を入れている。一方、デルタも生地調達や効率面では優れており、買収したブランドの全体的なコストの削減を図ることができるだろう」と分析する。
LISA LOCKWOOD, AMANDA KAISER
訳 北坂映梨