パルコが2016年秋冬シーズンの新広告を公開した。クリエイティブ・ディレクターを務めるのは、フランスのクリエイティブ・ユニット「エムエムパリス(M/M (Paris))」で、2014年秋冬から継続中。フォトグラファーには新たにユルゲン・テラー(Juergen Teller)、モデルには「サンローラン(SAINT LAURENT)」のミューズとして起用された、リリー・サムナー(Lili Sumner)を起用した。
引き続き「ファッションとシーズンの永続性」をコンセプトに、ユルゲンが講師を務めるニュルンベルク・アートアカデミーの学生たちと、ドイツ南西部の山岳森林地帯(BLACK FOREST)で現代的な童話物語を作り上げており、17年春夏まで1年間を通じたキャンペーンとなる。
エムエムパリスは「3年目となる今年は、パルコの広告がこれまでに持ち続けてきたイメージと、毎年、毎シーズンにわたって描いてきたサプライズを強調するため、写真のアプローチに変化を付けた。女性らしいテイストは残しつつも、これまでとは異なるリアリティーに溢れたアングルを模索した結果、アーティストであり写真家であるユルゲン・テラーに撮影をお願いした。結果、彼はわれわれの依頼とチャレンジに対して、とても大きな熱意を持って引き受けてくれた。ユルゲンはドイツのニュルンベルグ・アートアカデミーにて写真の講師をしており、彼からのアイデアで、今回私たちは彼の生徒たちをこの企画に招待し、新たな『パルコ・ワールド』を共に描くことにした。彼らと考えた新たな『パルコ・ワールド』では、黒い影に潜むマジシャンや、プラスチックに覆われた人魚、ブロンドヘアの金魚、そしてゴールドのチェーンをぶら下げたドラマーといった、まさに童話に登場するようなキャラクターが誕生した。これらのキャラクターは19世紀にドイツで活躍した童話作家のグリム兄弟へのオマージュでもある。ニュルンベルク・アートアカデミーがとても深い森に囲まれたロケーションに位置することもあり、『THE BLACK FOREST』というテーマの童話を作った。そして、この物語をより完成度の高いものにするために、主役の少女であるリリーを呼び、その他のマジカルなキャラクターたちと共に、シーズンごとに描く4つエピソード「INTO THE BLACK FOREST」(秋)、「DEEP IN THE BLACK FOREST」(冬)、「ESCAPE FROM THE BLACK FOREST」(春)、「RETURN TO THE BLACK FOREST」(夏)を作った。結果的に、我々は今回もとても美しいセッティングのビジュアルイメージと映像を残すことができたと思っている。このビジュアル作品がパルコの広告として次の1年間、パルコのあらゆる面をチャミングに、ユーモアを持って、女性らしく、そして多くの驚きと共に彩ってくれると思っている」とコメントを寄せた。
モデルを務めたリリー・サムナーはニュージーランド生まれ。16歳でモデルデビューの後、「マーク ジェイコブス」のキャンペーンに起用された。「サンローラン」のミューズモデルとしてエディ・スリマンにスカウトされ、彼のラストコレクションとなった2016秋冬ショーではクロージングモデルを飾り、注目を集めた。雑誌や広告ビジュアルなどでデヴィッド・シムズ(David Sims)やソルヴァ・スンツボ(Solve Sundsbo)、ユルゲンなどのトップフォトグラファーとの共演も多い。
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松下久美