「ヴァレンティノ」は7月7日、マリア・グラツィア・キウリ=クリエイティブ・ディレクターの退任を発表した。業界筋によると、「ディオール」のクリエイティブ・ディレクターとして今秋、2017年春夏コレクションでデビューするという。彼女と共にコレクションを制作してきたピエールパオロ・ピッチョーリ=クリエイティブ・ディレクターは引き続き「ヴァレンティノ」のクリエイションを手掛ける。
キウリとピッチョーリはデザイン・デュオとして、17年間にわたり「ヴァレンティノ」でクリエイションを手掛けてきた。創業デザイナーのヴァレンティノ・ガラヴァーニが引退した07年にアクセサリー部門のトップとなり、翌年にはブランド全体のクリエイティブ・ディレクターに就任した。2人はステファノ・サッシ最高経営責任者(CEO)と共に、ブランドイメージを一新し、業績を大幅に伸ばしたことで評価されている。
キウリは、「デザイナーとしての人生のほとんどをピエールパオロと過ごし、共に素晴らしいクリエイションを世に出すことができた。今は、新しいステージに挑戦する準備ができている」とコメント。一方でピッチョーリは、「『ヴァレンティノ』とここで共に働いている人々は私にとってかけがえのない存在。強い情熱と、自分自身のビジョンを表現したいという思いで、ここでクリエイションを続けていくことに決めた」と話す。
サッシCEOは、「今までの成功は2人なしではありえなかった。2人の才能と情熱、そしてビジョンのおかげでヴァレンティノは最も成功しているファッション企業の一つに成長することができた。今後もピエールパオロの指揮のもと、ブランドを強化し、成長を続けていく」と意気込む。
2人は「ヴァレンティノ」の前にも、「フェンディ」のデザインチームで10年間共に活躍していた。特に"バゲット"バッグのデザインに大きく貢献したことで知られている。「ヴァレンティノ」でも"ロックスタッズ"や"カモフラージュ"シリーズなど、数々のアイコニックな商品を生み出してきた。アクセサリーは、今も「ヴァレンティノ」のビジネスを支える重要カテゴリーで、昨年の売り上げの約50%を占める。「ディオール」によるキウリ抜擢のウワサの背景には、アクセサリービジネス拡大という狙いもあるのではないかと考えられている。
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LUISA ZARGANI
訳 山河清礼奈